課題3 ページ4
『おかえり』
部屋に戻るなりフワッと笑ったカヤ。
『……うん……やはりお前は温いなぁ』
「あまり変わらないぞ?」
『体温だけじゃない。全てに於いてお前は気持ちのいい人間だと言ってるんだ』
「……ならお前もだろう」
充電。持ち合わせた欠片を合わせてエネルギーを補充する。明日からも頑張れるように。
『温泉、また行きたいな』
「そうだな。家族とでもいいが、飲み仲間と行くのもいいな」
『ははっ、私も同じことを考えてたよ。
……杏、膝を借りてもいいか』
「ああ」
胡座をかいた俺の足元に横になったカヤ。心地好い重さと温もりが脚に広がる。
「……カヤは気持ちのいい人間だな」
髪を梳いていたら、思っていたことが口から出た。
『さっきの受け売りかい?』
「俺とお前は同じだと言っている」
『同じなのは本質だけだよ』
少し寂しそうに言った。
カヤは昔、俺と双子であることで泣いていた。
"なぜ杏と同じではないんだ……?全て同じがいい……"
双子とは難儀なものだ。互いが望んでも1人にはなれない。2人でひとつではあるが、同一人物ではない。
加えて俺たちは異性。時透のように同性の一卵性であれば、もっと出来たこともあっただろうか。
「俺は不満を持ったことは無い」
カヤだから、煉獄嘉柳という人間だったから、俺は隣にいられる。
『……うん。ごめん』
「気にするな。お前は悪くない」
どれだけ悲しもうが、悔しがろうが、俺は嘉柳の全てを肯定する。それは嘉柳も同じだ。
とても居心地良い場所だ。
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2021年4月29日 9時