王様ゲーム、切望。

命令9 ページ7

黒尾「っ……！くっそ……は、なせ……っ」

川西「だから聞いたでしょ。正気か、って」



黒尾の両手を掴み、左手は地面に押し付け、右手は顔から引き剥がそうとする。



川西「鬼の俺に近付いてる時点であんたの負けは確定してんだよ。俺に勝てる訳が無い」

黒尾「っ……！」


少しずつ、黒尾の顔から手が浮いていく。









.









刹那








川西の脳天を強い衝撃が打つ。






川西「っ！！」




黒尾「！バカっ、出てくんなって……」

夜久「んな事言ってられっかよ！もうちょっとで死ぬとこだったんだぞお前！」


太い木の棒を持って立つ夜久は、強い警戒心と共に川西を見た。川西は黒尾の上からは退かず、よろけた体を声を漏らしながら立て直した。そして血が流れる額に手を当てて、振り返った。




川西「っ……邪魔、すんなよ……！」



川西の目が夜久の目を捉え、口がイの形に開く。







灰羽「夜久さんっ！」



その時、夜久の前に巨体が庇うように立ちはだかった。遮られた事に川西は苛立ちを覚え、血だらけの目元を歪めて目線を上に向けた。





川西「てめぇ……誰だよ……っ、……ふっ……






見つけた」




通知音がけたましく鳴る。黒尾と夜久は息を止めて灰羽が小さく呻き声を漏らすのを見た。





ドサ……





地面に倒れた灰羽は何も言えずにもがき苦しみ、暫くして動かなくなった。




夜久「ぁ……お、い……リエーフ……っ、リエーフっ！！」


夜久は倒れたままの灰羽の肩を揺すった。しかし血の気の引いた頭がグラグラと揺れるばかりで、反応は無い。夜久は憎悪の篭った眼差しを川西に向けた。





黒尾「！見るな夜久っ」









.









川西「夜久衛輔、見っけ」







光の無い茶色と目が合った。

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