王様ゲーム、切望。

命令10 ページ46

北side


こんなに冷たい激情を抱いた事は、今まで一度だって無かった。興味が無いのか怒っているのかすら感情の入れ替わりの速度が速すぎて分からなくなり……今もそうだ。


宮治「こんな事になるって、分かってたら……」

そんな事、言うだけやろ。タラレバは誰だって言えんねん。どれだけ悔いても、死んでもうた奴らが戻ってくる事なんて無いんやし、自分の罪は精算出来るものでもない。生きる為と大義を掲げて手を下し、仲間すら踏み付けにして不安定な屍の上に立つ。


みんな嫌いや。憎しみさえ覚える。

どうしようもない状況下で人を殺し始め、嘘をつき、騙し、自分を正当化しようとする。他人の事言える立場でもないのに、俺の心は悲しさでいっぱいや。

何故こんな事をしなくてはならないのか。理由は分かっている、在り来りな答えや。でもそれを口に出すと、本当に悪い奴になってしまいそうで嫌だった。俺はただ"いつも通り"が欲しかっただけで、人を救うとか殺すとかそんな事には興味なんて無い。



北「……王様、ではないんやな」

宮治「俺と侑は王様やない」

北「角名は」

宮治「……かもしれない、とは言うときます」


こいつらを守ってやりたかった、信じてやりたかった。未来ある後輩を、生かしてやりたかった。

信じたいくせに嫌いとか、矛盾だらけの脳内はとうの昔に考える事をやめて、もうどうでもいいと言っていた。俺はそれが許せなくて、でも納得してしまっていた。


北「……練と銀が死んだのは、正しい道程を走ってこなかったから。
路成が死んだのは、鬼に危害を加えたから。
アランが死んだのは、角名にボールを隠されたから。
角名が死んだのは、恨みを買ったから。
侑が死んだのは、治が間違えたから。


あいつらが死んだのは、王様ゲームが始まったから。」


自分のせい、他人のせい。細かい事言わんと、もっと根本的な所を見れば分かる事。



ここで人が死ぬのは、王様のせい。




許せないと叫んでも、自分がした事は絶対に消えない。



こんなに人間臭い事が、他にあるんやろか。

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