王様ゲーム、切望。

命令10 ページ24

8:30


及川「全員居るね。……じゃあ」








川西「ちょっと待ったー……的な」

神妙な及川の言葉を遮ったのは、伸びた声の川西だった。全員の視線が体育館後方に集まる。


川西「命令に従う前に……中間発表的な答え合わせ、しませんか？」

誰かが声を漏らした。そこには明らかな疑問が含まれており、この場のほとんどの者の心情を代弁していた。

川西「もうそろそろ終盤だし、一応ここ」

次の瞬間、鋭い打撃が川西の頬を襲った。衝撃のまま川西は床に倒れた。







岩泉「ふざけんのもいい加減にしろよ」




川西「っつー……久々にいいの入ったな……」

切れた口端を手の甲で拭って川西は立ち上がり、拳を握る岩泉を見下ろした。

川西「へぇ〜意外。人殴れるんだ」

岩泉「……てめぇが王様か」

川西「さあ、どうだろう。そう思うならそうだし、違うと思うなら違う」

どちらかを問うような視線に、岩泉は青筋を立てた。

岩泉「そういうふざけた性格して……何人殺した」

川西「……」

岩泉「楽しいか？面白いか？……人の命をオモチャみてぇに弄びやがって、ふざけんじゃねぇ」

岩泉がまだ続けようとすると、間延びした声が目の前から発せられた。





川西「ピンポーン。だいせいかーい」

岩泉「は？………っ！」

見上げて驚く。稚拙で明るい言葉とは裏腹の、絶対零度の色が川西の瞳を黒く染めていて、相変わらず表情筋の稼働は最小限に抑えられていた。


川西「人の命をオモチャみたいに弄ぶ。……正解だよ。俺はお前らの命なんかどうとも思ってない。あっても無くても良いし、あれば遊んで、飽きたら捨てる。ふざけた性格もその通り。



でも、よくそれを俺に言えたもんだな」


岩泉「……あ？」

川西「いい加減にしろって言いたいのはこっちも同じなんだよ」

岩泉から目線を外し、川西は全員に目を向けた。


川西「綺麗事なんだよ綺麗事。毎日毎日、綺麗事ばっか言って生きてんだお前らは。善が正しいなんて誰が決めた。悪はなんで嫌われる。

大層な事演説する気は無い。俺の目的はただ一つ。



ここに居る人間を嘘っぱちの世界から解放する事だ」





死神のように川西は笑った。

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