ヒーロー ページ42
Aside
今日は、HELLOの歌番組収録の日。
HELLOでの活動が始まって初めての歌番組ということもあってか、いつもならあまりしない緊張もちょっとだけしていた。
アサヒ『どしたん、元気ないやん』
A『元気はあるけど、緊張してる』
アサヒ『珍し。Aが緊張することってあるんや』
A『そりゃあるよ、人間だもん』
アサヒ『ま、楽しんで頑張ろうや』
そう言って私の肩を叩き、どこかへ行くアサヒ。
アサヒはよく私と一緒にいるからか、私の様子が少しでも違うとこうやって声を掛けてきてくれる。
そうだよな、
楽しんで頑張る
その通りだ。
まずは楽しむことを考えよう。
そう自分に言い聞かせて始まった歌収録。
自分のラップパートも、見た目に反して体力が必要な振付のサビも終え、残すは最後のサビと、うちの事務所特有の、ラストの盛り上がりパート。
「1,2,3,4, you know what I'm waiting for〜〜〜!!」
ラストの盛り上がりパートは、振付は一応あるもののそれぞれ自由に踊っていいという指示が出ている。
そんな指示もあってか、他のメンバー達はポジションが近いメンバーと目を合わせていたり、少しおちゃらけた振付をしたりして楽しく踊っていた
やばい、私1人だけ、誰とも目も合っていないし、かと言って自由なノリ方も咄嗟に思いつかない。
気付いたら、1人そこで立ち止まり、リズムに乗っているだけだった。
どうしよう、確か次のカットは私がカメラに抜かれるはずなのに
どこのカメラで抜かれるかも忘れてしまった。
さっきまでステージに夢中で忘れていた緊張が一気に蘇り、頭が真っ白になる。
すると、
ハルト「A、」
隣に来て私の名前を呼び、大丈夫だと言うかのように目を合わせてくれるハルト
そのまま私が次に抜かれるカメラを指差し、カメラに向かって投げキッスをするよう身ぶりで教えてくれた。
そうだ、投げキッスをしよう
カメラは、あのカメラだ
ハルトがアシストしてくれたおかげで、一瞬でまたステージにスイッチが戻り、カメラに向かって投げキッスをする
私が投げキッスをすると、歓声を上げてくれる観覧のファンのみんな。
無事ソロで抜かれるカットも終わり、そのまま楽しい気持ちで最後まで踊り切る。
「Where you've been all my life?」
スタッフ「はい、カットで〜す!!お疲れ様でした!」
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作者名:くろ | 作成日時:2022年11月7日 4時