treasureは、すぐそばに。 (ページ30)

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空港に着き、まずは集まってくれていたメディアの方々に向けて1列に並ぶ。

アサヒやジョンウ、ジェヒョク達がふざけたポーズをしているのを見て、みんなが今回の日本での公演を楽しみにしていることがわかった。

そうしてメディアの方々への挨拶が終わって空港へ入ると、さっきまでの和やかな雰囲気は一変。

本当に数えきれないほどの人が一気に押し寄せてくる。

女子の中では高身長な私でも、これだけの人に囲まれれば押し潰され、真っ直ぐ歩けないほど人の波に飲まれてしまった。

1人明るい色の洋服を着て目印になってくれていたヒョンソギオッパの姿も、どんどん遠のいていく。

それでも必死に前へと進んでいたが、後ろからどんどん人が詰め寄ってくるせいか、ついに誰かの足に引っかかって、バランスを崩してしまった。

やばい、倒れる。

そう思って咄嗟に目を瞑ると、誰かが私の腕を掴む感触が。

ジョンファン「ヌナ、大丈夫ですか？」

A「ジョンファナ……」

皆の列からはぐれて姿が見えなくなった私を心配して後ろまで見にきてくれたジョンファンが、私の体を支えてくれていた。

ジョンファン「怪我ないですか？」

A「うん、大丈夫だよ。ありがとう」

そう言ってもう一度足取りを直し前へ進もうとすると、ジョンファンがそのまま私の腕を掴み、自分の腰に巻き付けた。

ジョンファン「危ないから」

そう一言だけ言ったジョンファンの背中はとても大きくて、さっきまで少しだけ抱いていた恐怖心が、いつの間にか消えていることに気付く。

　

ジョンファンに抱きつくような形になっているからちょっと恥ずかしかったけれど、可愛い弟だと思っていたジョンファンがこんなにも大きな背中で守ってくれている姿を見て、少しだけ、ほんの少しだけ、ドキッとしてしまった。

そうやって必死に歩いていると、無事出国ゲートに到着。

ドヨン「ヌナ、大丈夫？」

前を歩いていたドヨンも、すぐに声を掛けてくれる。

「うん、大丈夫だよ。ジョンファンが守ってくれたからね」

ジョンファンに聞こえるようにそう言うと、ジョンファンは何事も無かったようにして携帯を触っている。

さっきは思わずドキッとしてしまったけれど、まだまだ思春期真っ只中なジョンファン。

可愛いなと思うと同時に、この子が思春期が終わったら恐ろしいかも、と少し不安にもなった。