絶対に彼なんて…【青】 (ページ14)

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たった1日で、俺のためにアレンジしてくれた曲

それだけで十分…なんて思ったけど

「これ……」

「なに？」

「チョコレー…ト？」

「俺に？」

「うん。なんか、色々助けてもらって……ありがとう」

彼女の手から渡されたチョコレート

これまでもらった、どんなチョコレートよりも、ずっしりと重く、そして嬉しい

最初から決めていた

彼女以外の子のチョコは、今年は受け取らないって

まぁ、彼女からのチョコなんて、正直期待なんてしてなかったけど

「深谷さんのチョコ、一本にしぼってた」

もらってもぉたら、変な自信がムクムクと湧いてきて

「言うたやろ？去年。“来年の2月14日楽しみやなぁ”って」

男って…いや、俺だけなんかな？単純よな。こんなシチュでチョコ貰ったら、やっぱ俺に気…あるんよな？って

ともすれば、これって告白…よな？と思ってしまいがち

「あくまでも、昨日助けてもらったお礼と、怪我させちゃったお詫びであって…」

オドオドしだした彼女を

「ふ～ん」

と、ただ見つめていると

「………帰る」

スタスタと歩き出した

「えっ？ちょっと待ってっ。送ってくって」

「大丈夫。父が迎えに来るから」

「そう…なん？」

「じゃあ、またね」

もしかして……なんか、怒ってる？
ちょい、からかいすぎた？

…てか、このチョコの意味はっ？
ホンマにお礼とお詫びだけ？

あの反応からして、それはないと思うんやけど……

って、俺チョコもらったくらいで、浮かれすぎやろ。ちゃんと彼女の気持ち確認したら良かったやん

「はぁ…アホや、俺」

可愛らしい青色の箱眺めながら、ため息をついた

“またね”と言われたものの、2人とも推薦で大学はもう決まっていて、卒業式まで登校するのも数日

それに、卒業式まで約2週間しかないって事に気付いたのは、バレンタインの日、家に帰ってから

「深谷さん、あのさ？お願い、あんねんけど」

「なに？」

彼女の家でのレッスン最後の日

「俺にピアノ、教えてくれへんかな？」

「ピアノは？どこにあるの？」

「大学始まるまでは、音楽室使ってええって」

「そ…なんだ」

「なっ？ええやろ？お願いしますっ！」

「じゃあ…うん。とりあえず、大学始まるまでは」

「やったっ。よろしくお願いします」

卒業式まで、あと数日

何とか彼女を繋ぎ止めたくて、彼女に無理言ったのには、ある理由があった