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次の日

学校に着いてから向かったのは、自分のクラスではなく

「前野さん、ちょっとええかな?」

疑惑の彼女の元


「自分、昨日えらいことしてくれたなぁ」


「えっ…と、何の、こと?」


「はっ?しらばっくれるのも、いい加減にしとき?全部わかってんねん」

泣きながら『ごめんなさい』と言われても、謝って許されるような事と違う


「深谷さんに、ちゃんと謝って。あと今度こういう事があったら、タダじゃ済まへんから覚悟しといてな」


昼休みに、ちゃんと彼女に謝ってもぉて、ひと安心とは思うけど

「今月一杯でピアノ、辞めよう思って」

次、またおんなじ様な事が起こらないとは限らない


「深谷さんに、迷惑かけるし」

だったら、俺が身引いたらええだけやん?
最初はゲーム感覚だったわけやし


「でもっ」

…って、何でそんな必死に止めようとするん?


「俺が辞めてまうのが寂しいん?」

冗談のつもりやったのに


「はっ?そんなんあるわけ…」

頬赤らめて否定されたら、諦めよう思っても、諦められへん様になるやんか



コンサートを観に行くか否か

1日中その事をグルグルと考えて、気付けばコンサートの開演時間

自分から“出てくれ”と頼んだのに、観に行かないのは、失礼…やんな?

なんて、都合のいい言い訳つけて、家を飛び出した


ホールに到着したのは、彼女の演奏直前

楽しそうに演奏する彼女の姿を見て、音を聴いて、自分も隣にいる様な感覚に陥った

演奏が終わると、ホール全体が大きな拍手に包まれて、彼女がひとりステージの上に立っているのを見て、現実世界に引き戻された


『あの子は無理だって』

あの日、友達に言われた言葉を思い出す


「……ホンマやわ」

やっぱり、無理やった


そっとホールを出て、彼女と会わずに変えるつもりやったのに


「………っ、安田くんっ」

さっきまで、ステージの上にいた彼女が、目の前にいて

言われるがまま、誰もいないステージの上、ピアノの前に座らされた


今日、一緒に演奏するはずだった曲

左手だけ弾けって言われて


「せーのっ」

いきなり始まった演奏やったけど……




何これ、めっちゃ 楽しい

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作者名:ちか | 作成日時:2020年2月14日 13時

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