絶対に彼なんて…【青】 (ページ11)

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・side S ページ11

『あの子は無理だって』

友達に言われたそのひと言が、大袈裟かもしらんけど、俺の運命を変えた

高校に入学して、たくさんの友達ができた。何故か、女の子に言い寄られる事も多くて、ちょっと迷惑やと思うこともあるけど、ちゃんとお断りする時は、ビシッと断って、高校生活を楽しんでいた

順風満帆だった、高校生活1年目

2年生に進級しても、その雰囲気は変わらず、俺の周りはいつも賑やかだった。そんな友達との輪を、遠巻きに見てる女子がひとり

「なぁ？深谷さんって、どんな子？」

「なに？ヤス気になんの？」

「ん～……どぉやろ？」

「お嬢さまだよ」

「お嬢さま？」

「そっ。小さい頃からずっとピアノ漬けでら友達と遊んでるとこなんて、殆どみたことない。あぁやって、いつも1歩引いて、俺たちのこと見てるし」

「ふ～ん……」

「いくら人気者のヤスであろうと………

あの子は無理だって」

「…………」

ふ～ん。ほんなら、やってやろうやないか

ホンマに最初は、出来心の様な、ゲーム感覚やった
自分では、良い感じでアプローチしてたはずやのにら彼女の心には、全く響かず逆効果

途中からは、何や嫌われてもぉてんのが、まるわかりで

俺別に、彼女が嫌がる様な事、してへんけどなぁ
思い当たることなんていっこもなくて

それでもら嫌われてる事が分かって以上、グイグイ行くのは、火に油を注ぐようなもの

そっと様子をうかがっている時に訪れた、バレンタインデー

有り難いことに、クラスの女子はみんな、チョコレートを用意してきてくれてた。義理チョコ、友チョコはありがたく受け取って

本命は、気持ちは受け取れないけれど、チョコだけはいただいて

それなのに、彼女だけは、何のアクションもなし

久々にかけたモーションも

『好きじゃないから』

一蹴されて

そこで俺の闘志に火がついた

“絶対に、振り向かせたる”って

あん時の俺は、気がついてなかったけど

きっと、多分

俺は彼女に、

もう、惚れてたんやと思う