検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:21,477 hit

六夜 ページ7






 ふわふわとした夢から覚める。目を擦りながら起き上がり時計を見れば針は11時を指していた。

 今日は確か13時から会議だったはず。今日は遅れずにすむだろう。


「……夜まで、頑張らないと。」


 隣の布団をサラリと撫でてからゆっくりとベッドから出る。あくびを噛み殺しながらリビングに行き、スマホを充電器から外す。

 あまり食欲はないが今日の会議は長引くかもしれないと言われていたためある程度食べることにした。


「何食べよ……。」


 冷蔵庫を漁っているとテーブルに置いていたスマホが鳴った。トタトタと小走りでテーブルに近寄りスマホを取ると、誰かも確認せずに画面をタップした。


「はーい。」

「あ、坂田?おはよ。」

「んえ、そらるさん?おはようございます……どうしました?」


 かかってきた電話はそらるさんからで。寝起きのぽやぽやとした頭で通話に出ると、何やら躊躇いながらそらるさんは声を出した。


「いや……大丈夫かなって。」

「……何が?」


 なんとなく先を察しつい声が低く出てしまう。それは相手も分かったようで一瞬言葉を詰まらせたのを感じた。

 しかし、彼はふうっと息を吐くとまた言葉を口に出す。


「ツイッターでハルのことリスナーがいろいろ聞いてただろ?だからそれでも沈んでないかと思って。」

「……大丈夫、ではないですけど、まあぼちぼち。なるべく考えないようにしてるんで。」

「……そっか。無理すんなよ、会えなくて参ってるのは分かるけどさ。お前が倒れたらそれこそリスナーが心配するから。」

「……はい、ありがとうございます。」


 じゃあ、と言って切れた電話。耳から離して画面を見ると酷く歪んだ自分の顔が写っていた。


「……こんな顔じゃ、心配されてまうな。」


 とりあえず、朝飯を食べないと。Aに怒られちゃう。そして隠し通さないと。

七夜→←五夜



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (65 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
51人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

猫缶。(プロフ) - え、好き(真顔)(語彙力)めっちゃ泣いた……家族に白い目で見られちまったじゃないかどうしてくれるんだいいぞもっとやれ!!!!こんなにも素晴らしい作品を大好きな友達が書いてくれるとか何それ最高かな???これからも小説無理しない範囲で楽しもう!!! (2020年4月2日 0時) (レス) id: efdd73f72f (このIDを非表示/違反報告)
cacao - 最高だった...!ガチ泣きしちゃっためっちゃ感動した...もう本当にやまこすき...生まれてきてくれてありがとうマジで...出会えてよかった...!改めて誕生日おめでとう!これからも俺を含む読者が沸くような小説を書き続けてくれると嬉しいな。無理はすんなよ! (2020年4月2日 0時) (レス) id: e01dbf360d (このIDを非表示/違反報告)
優@坂田家 - はい、好き。優勝!!←何が? こういうやつあんま見ないからめちゃめちゃ新鮮! お誕生日&占ツク活動五周年おめでとう!!!役目果たしたので寝る! (2020年4月2日 0時) (レス) id: 2408924f06 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:山犬 | 作成日時:2020年4月2日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。