我が恋よ、散ることなかれ【浦島坂田船】 (ページ30)

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　浦里花魁の思い付いた“いいこと”を実践するため、私は坂田さんの部屋に行った。事の成り行きと計画のことを話せば彼は快く乗ってくれた。そして二人で営業時以外の時に傾城たちが集まる大広間へと向かう。
　新造たちや引っ込み禿たちの稽古も今日はないのでほとんどの傾城たちが集まっている。そんな中に彼と入っていったら……。

(あ、これ私死ぬ？)

　と、廊下の先に浦里花魁が見えた。彼はこれからのことを楼主様と内儀さんに話に行ってくれていた。
私に気づいた彼はぐっと親指を立てた。どうやら許可が貰えたみたい。私と坂田さんはそれに同じように指を立てて答えた。

　そして計画を実行に移す時が来た。坂田さんが私を見て頷く。それに頷き返すと彼はにこりと笑って私の頭を人撫でしてから部屋に入って行った。

「雪音(ゆきね)と夏佳(なつか)はおりんすか？」

「あ、はい！」

「ここに！」

　坂田さんの禿である二人はここに来た日に私の世話をしてくれた二人だ。彼女たちに助けてもらうことになっている。

「二人に若衆さんがお話があるそうじゃ。」

「？若衆さんが？」

　その声を合図に広間に入れば一気にブスブスと視線が私に突き刺さった。え、怖い怖い。
　坂田さんは私が近づいてくると二人の背中を押した。

「若衆さん、二人の髪を結いたいそうじゃ。」

「え、Aさん髪を結えるのですか！？」

「まあ、はい。自分の髪は自分で毎日整えてますので……。」

「ご自分でやられていたのですか！？」

　あれ、そんなに驚くことなのかな……？まあ髪結いさんがいるんだから自分ではやらないのか……。

　楼主さまと内儀さんには許可をもらったと伝えれば二人は嬉しそうに許可してくれた。何でも、今までの私の髪型が羨ましかったらしい。
　あの髪型しかしないのだから確かに飽きるのかもなあ……。

　貸してもらった鏡の前にまずは雪音ちゃんを座らせる。とりあえず櫛で髪を解かす。うん、これは結びがいがある。

「じゃあやっていきまーす。」

「はーい！」

　楽しそうに顔を綻ばせる。可愛いなあロリ最高。……ロリコンではないから安心しておくれ。