我が恋よ、散ることなかれ【浦島坂田船】 (ページ24)

今日:21 hit、昨日:22 hit、合計:247,116 hit

▼ ページ24

*

「それでここにお前がいる理由だけどさ……お前、志麻くん……紫里に接吻されてただろ？」

「っ！？」

　見られてたっ！？て、志麻くんって紫里花魁のことだったんだ……。
　

「んで、お前が倒れたんだよ。大方息できなくてだろうけど。もしかしてお前、接吻あれが初めて？」

「うぐっ……は、初めてですけど……。」

「うわほんとに？今まで一度も？」

　何この人。めっちゃからかってくるんですけど。初めてですみませんね！私、年齢＝彼氏いない歴なんで！

「そ、それで！私が倒れてどうしたんですか！？」

「え……ああ。倒れたお前を俺が紫里からもらってきたんだよ。」

「なんで貴方が。」

「んなのなんとなくに決まってるだろ。」

「はあー？」

　いやほんと失礼この人。なんでこんななのに2位なの？私もっとかっこいい理由かと思ったんだけど！？だってイケメンだし！

「まあ他にあるとしたら……。」

「へ。」

　途端に彼の声が低くなる。そして次の瞬間には視界に天井が写っていた。腕を掴まれ、両手を上にあげられて抑えられる。彼は私を上から覗き込むと空いているもう片方の手で私の頬をするりと撫でた。
　あ、私押し倒されてる、なんて理解した頃には、彼の顔はすぐそこにあった。ニヒルに笑う彼に私は言葉が出ない。

「あのままだったらあいつにお持ち帰りされて、食われてたかもしれねぇから。」

「は。」

「だから逆に俺が食ってやろうかと思ってな。」

　その言葉の意味を理解したとたん、私の顔はまたぼっと熱を持つ。

「いや待ってください救助してくださったのはありがたいですけどそれはやめてください私まだ16で青春真っ盛りなんでそういうのはもう少し時間がたってからにしたいんですけど諦めてくれませんかねって帯ほどかないでくださいいいい！！！」

　必死に言葉を捲し立てる私に構わず彼の手は私の着物を留めている帯に触れた。器用に片手でほどく彼は流石といったところだが今の私はやばい。実にやばい。誰か助けてっ！！
　そんな願いが届いたのか、襖の向こうからどたどたどたと足音が聞こえ、ばっと襖が開いた。……ｱｯそれもやばいや。

「うらさんA知らない！？まーしぃにうらさんがAのこと連れてったって聞いたんだけど………。」

「坂田、さん。」

「ちっ。」

「Aーーーー！！！？？？」

　ああ神様、今日はコメディで溢れた一日になりそうなんですけどツッコミはいらっしゃいますでしょうか。