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第55話 ページ7

見上げると、紅丸さんが立っていた。

『紅丸さん?た、たしか用事で早朝から出掛けてましたよね』

紅「今終わって帰るところだ。その前に…少し買い物付き合え」

強引に団子屋から連れ出された。
デコピンされたらしい額を擦りながら私は紅丸さんの後ろに続く。


男1「よォー!紅丸ちゃん!今日はいい魚揃えてるから夕飯時にでもどうだい」
男2「いやぁ、今日はえっっらいべっぴんさん釣れてるね!お似合いだよ紅ちゃん」
女1「お二人ベストカップルだって、噂になってるよ!」
女2「あ、紅丸さん!この間はどうも!」
子1「紅丸兄ちゃん今度また戦いごっこしようね!」
子2「ダメだよ今度は俺と鬼ごっこするんだ!」


ただ歩いているだけなのに、多くの人から声を掛けられている紅丸さん。

皆の憧れ、なんだろうな。

『どふぁ!?』

考えに集中していると、気づかず紅丸さんにぶつかる。

『急に止まらないで頂きたい』

紅「…おいババアこいつに合う着物見つけてやってくれ」

紅丸さんは、とある店に立ち寄り、そう叫んだ。
店の奥から柔和な表情をしたお婆さんが出てきて、丁寧に着物をいくつか並べていく。

婆「最近入荷した、着物だよ。若者向けの華やかなものも、もう少し大人しめのものもあるから、何なりと」

私は戸惑って紅丸さんの顔を見た。
紅丸さんは私から顔を逸らして言う。

紅「お前のそのスーツ、浅草に似合わねぇんだよ。着物ぐらい買ってやるから選べ」

どうやら彼のご厚意らしい。

早速、拝見してみるが、何分オシャレには疎いもので、何も分からない。

『あの、紅丸さん。代わりに選んでくれますか』

紅「あァ??なんで俺が…テメーのくらいテメーで…」

私は無言でじっと紅丸さんを見つめる。

紅「……わぁったよ。ババアそれとそれとそれとそれ」

婆「あいよ」

紅丸さんは間髪入れずに着物を選んでいく。
もしかして、私に似合いそうなものを考えていてくれていたのか?…なわけないか。

私は紅丸さんの指示で、その場で着物を着て、残りの3着と着ていたスーツは頂いた手提げバッグに入れた。


白百合が青色の生地に咲き、桃色の帯が美しい着物。
この着物は、人目を惹くようで、道を歩けば犬さえも私をガン見する始末。

『紅丸さん…この着物のことみんな見てますね…』

紅「…見てんのはお前だよ」

『わ、私ですか?』

紅丸さんの呆れ顔。




にしても、詰所と逆方向に来ている…どこに行くんだろう…。


小鳥の一声が、あたりに響き渡った。

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まっちゃ@色松推し(プロフ) - とてもこの作品大好きです!これからも頑張ってください!!応援してますね! (2020年10月27日 20時) (レス) id: a8031c7e26 (このIDを非表示/違反報告)
愛華 - 続き楽しみに待ってます! (2020年8月9日 22時) (レス) id: 499c5e2247 (このIDを非表示/違反報告)
月坂美青(プロフ) - 瑠月さん ジョーカー好きなかなか身近にいないので、嬉しいです!ありがとうございます (2020年5月10日 22時) (レス) id: 8bdfbe2e5c (このIDを非表示/違反報告)
月坂美青(プロフ) - ソロ3さん ありがとうございます!頑張ります (2020年5月10日 22時) (レス) id: 8bdfbe2e5c (このIDを非表示/違反報告)
瑠月 - ジョーカー好きなので、沢山絡みがあって嬉しいです!これからも楽しみにしています! (2020年4月26日 2時) (レス) id: 0125c01ae4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月坂美青 | 作成日時:2020年3月22日 2時

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