第54話 ページ6
ジ「それは_______ラフルス三世の温情だ。鳳凰条の運命を、お前のこうした生い立ちを、あの爺さんは知り、心を痛め、お前を心底守りたいと思った。」
天涯孤独の私に、気味悪い力がある私に、それでもなお普通に接してくれていた。
『皇王様…』
ジ「これで全部だ。俺が知るお前の秘密は。お前の幼い頃の記憶がねぇのは、この胸糞悪い世界を見たから、ショックだったから、だろうな」
私はあまりに衝撃的な情報を詰め込みすぎて、脳が回らなかった。
『じゃあ、私はどうすればいい。これから…恨めばいいのか?何をどうすればいい』
ジョーカーは悠々として、私を横目で見る。
ジ「…どうもしなくていい。灰島を警戒しながら普通に生きていけ」
私の頭に大きな手がのり、わしゃわしゃと撫でてくる。
『や、やめろ!……あ、ジョーカー。お前の正体も教えろ』
ジョーカーはへらへら笑う。
ジ「それは無理。今は無理」
『はぁ?』
ジ「タイミングってのがあるんだよ。ところでA」
『何』
ジョーカーは手を私の頬に添え、顔を近づけた。
不意打ちで、抵抗すら出来なかった。
鼻と鼻の先が、軽く触れ合う。
『な、ななななな!?』
私は思わずジョーカーの肩を強く押した。
彼の体は後方へ下がる。
ジ「A…目の力使ったのか」
『………』
私は顔の熱を冷ますために、後ろを向いて、手で扇いでいた。
ジ「お前のその力、他の第三世代と違って、使用に上限があるから気をつけろよ」
『へーそうなの。…………え?』
ジ「知らされてねぇのかよ…使う毎に瞳の色が薄くなっていく。色が無くなった時が、力が尽きた時。そしてお前が失明する時だ」
『そんなこと知らない!力が強すぎるから使ってはいけないんじゃないのか!』
ジ「それもある。とにかく使わないに越したことはねぇ」
ジョーカーは立ち上がった。
ジ「そんじゃあ俺はここらでら消えるぜ。厄介者が来たからな」
『厄介者?』
ジ「それと、A。第8だか第7だか知らねぇが、特殊消防隊にいたままじゃ、知ることが出来る情報もたかが知れてる」
ジョーカーは跪き、私の手の甲に軽く口付けをした。
『!?!?』
ジ「その気になったら…俺と悪魔になりに来いよ。じゃあな」
ジョーカーは煙草の煙に巻かれて消えた。
私が唖然としていると、額に衝撃を受けた。
『いった…!』
?「ンなアホ面してんじゃねぇよ…アホ女」
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まっちゃ@色松推し(プロフ) - とてもこの作品大好きです!これからも頑張ってください!!応援してますね! (2020年10月27日 20時) (レス) id: a8031c7e26 (このIDを非表示/違反報告)
愛華 - 続き楽しみに待ってます! (2020年8月9日 22時) (レス) id: 499c5e2247 (このIDを非表示/違反報告)
月坂美青(プロフ) - 瑠月さん ジョーカー好きなかなか身近にいないので、嬉しいです!ありがとうございます (2020年5月10日 22時) (レス) id: 8bdfbe2e5c (このIDを非表示/違反報告)
月坂美青(プロフ) - ソロ3さん ありがとうございます!頑張ります (2020年5月10日 22時) (レス) id: 8bdfbe2e5c (このIDを非表示/違反報告)
瑠月 - ジョーカー好きなので、沢山絡みがあって嬉しいです!これからも楽しみにしています! (2020年4月26日 2時) (レス) id: 0125c01ae4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月坂美青 | 作成日時:2020年3月22日 2時