【男主】感触【胡蝶しのぶ】

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「しのぶ、なんでここに」



宇髄が『落ち込んでいた』、なんて言っていたが……しのぶが？何故。



「Aさん……私」



しのぶは、俺に何かを伝えようとするけれど、「……すみません、何でもないです」と、いいよどんでしまう。



「なんだよ、言えって」

「いえ、とても、恥ずかしいことなので……」



しのぶの弱々しい、つくり笑いが目について、いたたまれなくなる。

俺は、そんなしのぶに、今の今手に入れた、蝶の装飾が付いた髪飾りを取り出して。



「しのぶ……じっとしてろ」

「Aさ、ん……？」



後ろから抱き寄せて、髪に付けてやろうとする。

クソ、難しいな……宇髄ならこういうのも、上手くやってのけるだろうに。

おまけに、くらくらするような、ふわりと香るしのぶの匂い。



「っ……できた」

「……！これは……」



不器用に、なんとかつけてやったそれも、しのぶが身に付けると、単体のときよりも良く見えて。

店の奴に手鏡を借りて、状況を把握したしのぶは、みるみる笑顔になる。



「ありがとうございます……！」



それは、花のほころぶような、優しく綺麗な笑顔だった。





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