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任務を終えて屋敷に帰ると、しのぶが、縁側にみたらし団子を出してくれた。
俺はそこに座って団子を食べようとするわけだが……どうしたことか、しのぶの元気がない。
コイツは……いつも、何があってもどうってことないって表情をしておきながら、実は本当のところの気持ちが見え隠れしているんだよな。
……他は中々気づかないが、俺にはわかる。
「しのぶ、何があった」
団子に手をつける前に、縁側を去ろうとしたしのぶの背に問いかける。
いつもなら、隣に座って、俺が食べ終わるのを、話をしながら待ってくれているしのぶに。
「……Aさんは……私でなくても……いえ、何でもありません……」
「待て」
立ち上がって、しのぶの手首を掴む。
「教えろ」
有無を言わさない俺の一言に、しのぶは黙り込む。
そして、打ち明けてくれた。
「……Aさんは、胡蝶家の
言っているしのぶは、今にも泣きそうだが、必死にこらえている。
……そういうことか。
「はぁ……」
「!?」
俺は溜め息をついて、縁側に座り直す。
「あの阿呆ダルマが……甘露寺にでも、馬鹿吹き込んだな」
「……どういうことですか」
「いいから座れって」
さて、どう説明したものか……顔が好みだというのは、あながち間違いでもない。
でも、それだけが理由で、こんなにしのぶを好きになるわけ……ないだろ。
「あのなぁ……胡蝶家の顔が好みっつぅのは……お前の父親も入ってるからな」
「……へ」
突拍子もないことを言い出した俺に、気の抜けた声を出すしのぶ。
「つまり、」と、俺は追いうちをかけるように。
「単に顔がいいからじゃなくて……言ってた通り、胡蝶家の顔が好みなんだよ、そのまんまの意味だ……だから」
そこで言葉を切って、俺はしのぶに向き合った。
「多分……いや、絶対。お前の父さんもクソ好みだ」
言うと、しのぶは暫く呆けて、やがてクスクスと笑い出す。
「わかりました……まだ、弁解は続きますか?」
「ああ……聞いてくれるか?」
「仕方ありませんね」
しのぶはやっと、俺の隣に座って、団子を口に運ぶ。
口元に、楽しそうな笑みが浮かんでいてほっとした。
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天霧(プロフ) - うっひょうぅぅぅう!しのぶさん最高ですよ! (2021年11月5日 20時) (レス) id: 29b58b93c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - しのぶちゃんかわいいですよね、、!更新待ってます! (2020年8月12日 22時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃこの作品好みです!更新お願いします!!!これからもがんばってください!! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
イツキ - 二人のイチャイチャ楽しみです! (2020年5月10日 12時) (レス) id: a90c8d5aa0 (このIDを非表示/違反報告)
剣華 - いつもニヤニヤしながら見させてもらってます。ほんと好きです!次の更新も楽しみにしてます!がんばってください。 (2020年5月7日 12時) (レス) id: e2d859c4ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たつき | 作成日時:2020年3月30日 7時