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_____今日は帰りが少し遅くなると思う。だから、寝て待ってろ……なんて、言っていたけれど。

流石に遅くて、心配になってしまう。

言われた通りに寝ていれば気になることもなかっただろうに、耳が、Aさんの戸を開ける音を探してしまって。



「仕方ありませんね……」



中々寝付けそうにないため、夜風にあたろうと羽織を羽織った。

雲行きが怪しいけれど、少しの間なら大丈夫そう……

私は、屋敷の扉を開けて外に出ると、静かな夜道をゆっくりと歩く_____





・・・




嫌な予感がした。

前にも、似たような感情が、心に溢れた気がする。

直感にも似たその考えは、逆に、結果を知り急いで私の足を進めてしまい、もう、戻ることも止まることも出来なかった。

……嫌だ。

何かが、嫌だ。

……そして、その直感は当たってしまう。



「Aさん…………?」



路地裏の暗闇に、Aさんと……胸元の緩んだ、女性の姿。

二人とも、私に気づくことはなく、何やら話している。

すると、女性の方がAさんに近寄って、距離を縮めた。



……嫌だ。



Aさんは一歩後ろに退くけれど、女性はその分、さらに距離を詰める。



……嫌だ。



女性はAさんの頬を包んで、顔を近づけると、唇を寄せて……



嫌だ……



Aさんと、目が合う。

その瞬間、私は金縛りから解けたようにハッと我に返り、自分の出せる限りの速さで、その場を駆け出した。



嫌だ、嫌だ、嫌だ……



じゅくじゅくと、嫌な想いがとめどめなく溢れる。

もう、このままどこかへ行ってしまいたい……!



「A……さ、」



零れた涙が、風に吹かれて浮いて飛ぶ。

屋敷に戻るつもりは微塵もなかった。

ただ、あの場から離れたくて、走って走って。



「っ…………」



雨が降ってきたけれど、もう、そんなことはどうでもよかった。

離れたい。

Aさんにだって会いたくない……_____





6章:誤解なるもの、→←ー



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天霧(プロフ) - うっひょうぅぅぅう!しのぶさん最高ですよ! (2021年11月5日 20時) (レス) id: 29b58b93c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - しのぶちゃんかわいいですよね、、!更新待ってます! (2020年8月12日 22時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃこの作品好みです!更新お願いします!!!これからもがんばってください!! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
イツキ - 二人のイチャイチャ楽しみです! (2020年5月10日 12時) (レス) id: a90c8d5aa0 (このIDを非表示/違反報告)
剣華 - いつもニヤニヤしながら見させてもらってます。ほんと好きです!次の更新も楽しみにしてます!がんばってください。 (2020年5月7日 12時) (レス) id: e2d859c4ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たつき | 作成日時:2020年3月30日 7時

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