【男主】溺欲【不死川実弥】

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いつも不貞腐れたような顔をしている実弥の口から、渋々と言ったように言葉が吐かれる。



「俺……アンタが思ってるより、強いと思うけど」



そうだ、このときはまだ、実弥は俺に、敬語を使っていなかった。

大人びているとは言えど、まだまだ幼い面持ちがあった。



「手加減はしなくていい。俺も、まだ君に負ける程衰えてはいないと思うから」

「…………後悔してもしらねぇぞ」

「あぁ」



煽るように誘ってみれば、流石にカチンときたのか、刀を握りしめて間合いをとる実弥。

俺も刀を抜いて、攻撃してくるのを待った。

刹那。



「うぉ」



刃と刃が激しくぶつかり合う。火花さえ散りそうな。



「あ？なんだこんなもんかよアンタ、期待して損した、ぜっ」

「くっ……」



思っていたより強烈な一撃。

間髪入れずに次々と、風の如く刃筋が降りかかる。

これは…………流石だな、実弥。

このあと、久しく本気で相手をしたことをよく覚えている。





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