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怪我の手当てを終えたらしい実弥が、宇髄と俺の間に割り入る。
実弥は気のせいか、怒っているように見えた。
そんな実弥に、宇髄は面白がるような目線を向ける。
「不死川よぉ、余裕のない奴は嫌われるぜ?」
余裕がない……?
訳が分からず、俺の前に立ちはだかる実弥と、にやつく宇髄を見比べていると、実弥は急に俺の首筋を撫でて。
「さ、実弥?」
宇髄の前で、キスをした。
先程のような腰が抜けるようなのキスではなく、唇と唇が触れるだけの、優しいキス。
しかし、それだけでも、顔が異常に熱いように感じる。それに、胸の辺りが捩れて苦しい。
_____俺達を見守るように立っていた胡蝶、いつの間にか蝶屋敷にやって来ていた伊黒と甘露寺も、その場を見ていた。
伊黒の驚愕した表情が遠目からでも窺えて、さらに恥ずかしさが増す。
「Aさん」
聞きなれている筈の実弥の声が、身体に響いてならない。
真っ直ぐに実弥を見てやれない。
いつの間に、こんな、実弥を意識するようになったのか。
「もう、俺だけの……だからなァ?」
ぎゅっと距離を縮められて、どく、と心臓が跳ねる。
実弥の全てが、俺を可笑しくさせたみたいだ。
これが欲…………なのか。
…………愛していると、互いに言って、キスをした。確かな愛情を感じた。それが、とても嬉しくて、言葉に表せない感情に押し潰されて。
「Aさん、好きだ。愛してる」
「っ……俺も、その…………愛している…………」
皆の前で言うことに恥じらいを感じながらも、こうして、実弥に愛情を注がれると、嬉しくなる。俺も実弥を、そんな気分にさせたくて。
「もう、誰にも渡さねぇ」
_____きっと、初めて感じる、この、色々な感情は。
全てを引っくるめて欲と言い、そして俺は。
……実弥への欲に気づいた俺は。
その欲に、溺れていく_____
fin.
番外でクソ甘々なお話を書く予定。R17くらいまで引き上げるつもりです。
お楽しみに!
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mikitty(プロフ) - 好きです!!!! (2022年12月25日 13時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草(プロフ) - やっぱり何回見ても最高だなぁ、ぐへへ(( (2020年12月19日 14時) (レス) id: 4fc468f2f2 (このIDを非表示/違反報告)
柴犬(プロフ) - 素敵な作品ですね...、愛情表現や色気のあるシーンがすごく好きで一気読みしてしまいました。他の作品も読ませて頂きたいのですがパスワードというのはどちらで伺えばいいのでしょうか...? (2020年5月30日 9時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
ohagi - めっちゃ最高でした。自分も腐ってるのでBLの方がよけい萌えました! (2020年3月31日 14時) (レス) id: 8e8ba22e4c (このIDを非表示/違反報告)
ひつじマイケル(プロフ) - お疲れ様です!読んでいてとても面白かったです!よろしければこれの短編集を読んでみたいです! (2020年3月30日 14時) (レス) id: 37a32601d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たつき | 作成日時:2020年2月29日 20時