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カナヲが、未だ帰って来ていない。
「…………」
可笑しい、そろそろ此方に到着していてもよい頃だというのに。
落ち着かなくなって、屋敷の前を忙しなく動いていると
「姉さん!しねぶ姉さん!」
「カナヲ!」
ずっと、帰りを待っていた、家族同然の可愛い妹。
安心して、思わずギュッと抱き締める。
「お帰りなさい、お疲れ様……」
私はそう言いかけて、カナヲの様子が可笑しいことに、端と気付く。
「カナヲ?」
カナヲは、口をはくはくさせて、なかなか言葉にすることが出来ない。
落ち着いて、大丈夫だから…………何があったの?
肩を撫でながらそう尋ねると、カナヲは今にも泣きそうな声で、単語を発する。
「Aさんが…………町は、無事、だけれど、Aさんのお陰で…………私一人じゃ、駄目で…………」
「……!」
カナヲのただならぬ声色に、兎に角不味い状況であることはわかった。
お館様に伝えて、それから…………
そう、素早く考えを巡らせていると
「おい、Aさんをどうしたてめェ」
いつになく焦ったような表情をした不死川さんが、カナヲを睨んで、そう言った。
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mikitty(プロフ) - 好きです!!!! (2022年12月25日 13時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草(プロフ) - やっぱり何回見ても最高だなぁ、ぐへへ(( (2020年12月19日 14時) (レス) id: 4fc468f2f2 (このIDを非表示/違反報告)
柴犬(プロフ) - 素敵な作品ですね...、愛情表現や色気のあるシーンがすごく好きで一気読みしてしまいました。他の作品も読ませて頂きたいのですがパスワードというのはどちらで伺えばいいのでしょうか...? (2020年5月30日 9時) (レス) id: 87b58a18e6 (このIDを非表示/違反報告)
ohagi - めっちゃ最高でした。自分も腐ってるのでBLの方がよけい萌えました! (2020年3月31日 14時) (レス) id: 8e8ba22e4c (このIDを非表示/違反報告)
ひつじマイケル(プロフ) - お疲れ様です!読んでいてとても面白かったです!よろしければこれの短編集を読んでみたいです! (2020年3月30日 14時) (レス) id: 37a32601d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たつき | 作成日時:2020年2月29日 20時