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彼岸という鬼[過去編?] ページ35

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師範。


否、


此処では彼岸と言おう。





彼岸という鬼は異様だった。



元来、鬼とは人を喰らう生き物だ。




しかし、彼岸という鬼は違った。



そこらの鬼と同じ鬼だか同じではなかった。



人を喰わなかった。



いや、人を喰うことが極端に少なかった、と言おうか。



兎に角、人を喰うことがあまりなかった。



喰らったとしても月に一人か二人ぐらいだろう。



あとは自分の血を飲み、飢えを凌ぐだけだった。



何故、彼岸という鬼はそこまでして人を喰らわなかったのだろう。








鬼とは、人の心の悪から生まれたものだ。


人間によって、何かを失い、その人間を恨んだ。


その恨みから心が鬼となり、''誰か''の力で鬼となった。


鬼は皆そうだ。そのほか以外にあることなど極端に無い。






つまり、彼岸という鬼も人によって何かを失い孤独となり鬼になった筈だ。
 

では何故、自身の血を飲んでまでして人を喰らわないのか。




罪悪感が残るのだろうか。


否、


喰らいたく無いほど人を嫌っているのだろうか。


否、


例え、人にどれだけ傷つけられようと、それでも人を愛しているのだろうか。





本当の答えは、彼岸しか分からない。





師範がいつも、何処かしら遠くを見ていた時は、一体何を考えていたのだろうか。

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作者名:雑草のかきあげ x他1人 | 作者ホームページ:無いです  
作成日時:2021年5月25日 16時

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