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M.M ページ38
土曜の夕方、珍しく家にいた俺の前を
浴衣姿のAが横切った。
俺の視線を感じてか、こっちを振り返ったAは
｢何？何かおかしい？｣
ちょっと不安そうにするもんだから、
正直に、めちゃくちゃ綺麗だよって言いそうになった。
そんな綺麗なカッコしてんのに、不安になる？
めちゃくちゃ似合ってるよ。
顔に出てんじゃねぇかなってこっちが不安になるわ。
｢ちょっと後ろ向いて。｣
自分で着付けたんだろう、少しだけ黄色の帯がゆがんでて、
｢ほいっ。｣
なおしてやると
｢直せちゃうんだ、すごいね。｣
｢和服も一応勉強したからな。｣
近づくとあの頃とは違う香りがして、
｢ありがとう、美勇人。行ってくるね。｣
名前なんて呼ばないでくれ、
って、
珍しく家にいたことを後悔した週末。
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作者名：パセリ愛好家 | 作成日時：2020年8月22日 5時
