ただ助けたいだけなのに

肆拾壱　体験 ページ6

禰「…うぅ、うぅ…、」

禰豆子ちゃんは血が滴る腕を見ながら唸る。

実「どうした鬼。来いよ。欲しいだろ？」

その一連の出来事をお館様と他の柱は黙って見つめている。

禰豆子は実弥の事を睨み続けた。

隣で炭治郎はハラハラとしながらこの出来事を見ていた。

暫く禰豆子は実弥を睨むと、

禰「ふんっ！」

実弥から勢いよく顔を背けた。

実「んなっ！？」

炭治郎はホッと息を零した。

これで禰豆子が人を襲わないということが証明された。

そして、その出来事を静観していた耀哉が口を開く。

お「どうしたのかな。」

ひ「鬼の女の子はそっぽ向きました。不死川様に三度
　 刺されていましたが、目の前に血塗れの腕を突き
　 出されても、我慢して、噛まなかったです。」

…暫く任務で薬を作らなかったから原作通り、病が進行している。

この後急いで渡さないと。

実「…くっ！」

お「ではこれで、禰豆子が人を襲わない事の証明が出
　 来たね。」

実弥はまだ納得がいかないという顔をし、小芭内は義勇さんの腕を振り払う。

お「炭治郎。」

耀哉は禰豆子の事を見守っていた炭治郎に声をかける。


お「それでもまだ禰豆子の事を快く思わない者もいる
　 だろう。証明しなければならない。これから、炭
　 治郎と禰豆子が鬼殺隊として闘えることを。役に
　 立てることを。」


呆然としていた炭治郎はハッとして慌てて頭を下げる。

お「十二鬼月を倒しておいで。そうしたら皆に認めら
　 れる。炭治郎の言葉の重みが変わって来る。」

その言葉に、炭治郎は頭を上げた。

その瞳は、決意を決めた時のような真剣な目をしていた。

炭「俺は…俺と禰豆子は！鬼舞辻無惨を倒します！俺
　 と禰豆子が必ず！悲しみの連鎖を断ち切る刃を振
　 るう！！」

お「…今の炭治郎には出来ないから、まずは十二鬼月
　 を倒そうね？」

その言葉に炭治郎は一気に顔を赤くする。

炭「…はい」

…凄い口がプルプルする。

他の柱も殆どが堪えている。

杏「うむ！いい心がけだ！」

杏寿郎はよく笑わないでいられるね。

漫画の時は笑わなかったけど、実際体験すると堪えるのが必死になる。

お「鬼殺隊の柱達は抜きん出た才能がある。自らを叩
　 き上げて十二鬼月を倒している。だからこそ、柱
　 は尊敬され優遇されるんだよ。炭治郎も、口の利
　 き方には気をつけるように。」

炭「は、はい。」

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