ただ助けたいだけなのに

捌拾壱　二人で一つ ページ46

「…まぁ一筋縄にはいかねぇわな」


と堕姫の帯で丸まってる鬼に言った。


妓「俺たちは二人で一つだからなあ」


伊「(ドンドンボムボムのせいで助太刀に入れねぇ
　 ぜ！！)」


※ドンドンボムボムは爆弾のこと。


〜禰豆子達〜 炭治郎side


炭治郎は禰豆子を箱に入れていた。


まだやれる。


まだ動ける。


今度は戦い抜く。


〜天元達〜 天元side


妓「お前違うなぁ。今まで殺した柱達とは違う。お前
　 は生まれた時から特別な奴だったんだろうなぁ。
　 選ばれた才能だなぁ。妬ましいなぁ。一刻も早く
　 死んでもらいてぇなぁ」


「…才能？ハッ俺に才能なんてもんがあるように見え
　るか？俺程度でそう見えるならテメェの人生幸せだ
　な。何百年生きていようがこんなところに閉じ込も
　ってりゃあ世間知らずのままでも仕方ねぇのか。こ
　の国はな広いんだぜ凄ェ奴らがウヨウヨいる。得体
　のしれねぇ奴もいる。刀を握って二月で柱になるよ
　うな奴もいる。俺が選ばれてる？ふざけんじゃね
　ぇ。俺の手の平からどれだけの命が零れたと思った
　んだ」


…そう、俺は煉獄や黒い布の人__優来さんのようには
　出来ない。


妓「ぐぬぅ。だったらどう説明する？お前がまだ死ん
　 でない理由は何だ？俺の血鎌には猛毒があるのに
　 いつまで経ってもお前は死なねぇじゃねぇかオ
　 イ。なあああ！！」


「俺は忍の家系なんだよ。耐性つけてるから毒は効か
　ねぇ」


堕「忍なんて江戸の頃には絶えてるでしょ。嘘つくん
　 じゃないわよ」


嘘じゃねぇよ。


忍は存在する。


兄弟は九人いた。


十五になるまでで七人死んだ。


一族が衰退していく焦りから親父は取り憑かれたように厳しい訓練を俺たちにやらせた。


生き残ったのは俺と二つ下の弟のみ。


そして弟は親父の模写だ。


部下は駒、嫁は後継者を生むためなら死んでもいい。


本人の意思は尊重しない。


ただひたすら無機質。


俺はあんな人間になりたくない。


黒い布を被った優来さんは


「嫁さん達を連れて逃げれば？」と言って鬼殺隊の入隊を薦めてくれた。



お館様も。


お「つらいね天元。君の選んだ道は。自分を形成する
　 幼少期は植え込まれた価値観を否定しながら戦い
　 の場に身を置き続けるのは苦しいことだ。様々な
　 矛盾や葛藤を抱えながら君は君たちはそれでも前
　 を向き戦ってくれるんだね。人の命を守るため
　 に。ありがとう。君は素晴らしい子だ」

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