ただ助けたいだけなのに

肆拾陸　新感覚！ ページ11

炭治郎達の姿を追いながら列車の横を走っていると善逸の声が聞こえてきた。

善「柱だっけ？その煉獄さん。顔とかちゃんと分かる
　 のか？」

善逸が炭治郎に質問していた。

興奮している伊之助を引きずって歩く善逸がとても面白い。

炭「うん、派手な髪の人だったし、匂いも覚えている
　 から。近づけばわかると思う」

炭治郎がそう答えた。

…今すぐに誰だかわかると思う。

炭治郎は次の車両に続く引き戸に手を伸ばすと

杏「うまい！！！」

ほらね！

炭「うわっ！？」

善「な・・・・何！？」

大きな声が引き戸の向こうから聞こえてきた為、皆とても驚いている。

耳のいい善逸なら、鼓膜が破れそうな大きな声。

炭治郎も、この大きさに驚いていた。

杏「うまい！！！うまい！！！うまい！！！」

近所迷惑ならぬ列車迷惑になるよ？

…それはもう、大量の弁当を一心不乱に食べてた。

取り憑かれてるの？

炭「…」

あの炭治郎さえ声をかけるか、かけまいか悩んでる。

炭治郎が悩んでいると、善逸が小声で

善「あの人が炎柱？…ただの食いしん坊じゃなく
　 て？」

と、尋ねていた。

誰だってそう思うよね。

って言うか列車がガタガタゴトゴト走ってるから風がヒュ〜って鳴っていて聞き取りづらい。
↑
当たり前。聞こえてる方がおかしい。

炭「うん」

炭治郎が答えると、杏寿郎に近づいた。

炭「今回の任務で、煉獄さんと行動させていただくこ
　 とになりました。階級・癸、竈門炭治郎です」

そう声をかけると、杏寿郎は

杏「うまい！！！！」

炭「あっそれはよく分かりました」

…槇寿朗さんは静かに食べる人なのに何でこんな煩く育ったんだろう？

杏「君は、お館様のときの」

弁当をすべて食べ終え、杏寿郎が炭治郎達に向き直った。

炭「はい、竈門炭治郎です。こっちは同じ鬼殺隊の我
　 妻善逸と嘴平伊之助です」

善逸は軽く会釈をしたが、伊之助はふんぞり返っていた。

が、杏寿郎は気にする様子もなく

杏「そうか！それで、その箱に入っているのが…」

炭「はい！妹の禰豆子です。」

炭治郎は言いながら自分の背にある箱を見る。

鬼である妹を認めたわけではないだろうが、耀哉は認めている。

それだけで、柱の反応は随分と変わる。

炭治郎も、杏寿郎が否定しない事に喜んでいるようだ。

…実弥とかは否定してくるだろうけど。

愛莉ちゃんの所為で心臓が凄く痛い。

今まで(前世)も含めて外からだったから内からって何か新鮮！←大丈夫？

肆拾漆　潔く→←肆拾伍　走れ！

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