謎だらけの出来事 ページ1
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PM09:00
「盛り上がってるとこ申し訳ないんだけど…俺、あの子がいい。」
呼ばれたVIPルームの扉を開け、足を踏み入れた瞬間だった
テレビで幾度となく見てきた大きな瞳がわたしを射抜いて
そのぷっくりした唇が静かに弧を描く
その綺麗な指でわたしを指差して
その仕草すら美しいのに、
貼り付けたような笑顔が怖かった
「あの子以外いらないからさ。出てってくんない？」
その美しい顔からは想像出来ないほどの毒を吐き捨てる
一瞬だけ時間が止まったかと思うぐらいの沈黙が流れた
固まるわたしと、ザワつくキャスト
ポーカーフェイスで有名なNO.1の愛華さんだって驚いた表情を隠せない程
つい先程まで騒がしかったVIPルームが静かになってBGMしか聞こえない
「ほら、早く動きなって。あ、あとさ店長呼んでくれる？」
首を傾げる彼はアイドルのそれで、でも目は笑ってなくて…そのアンバランスな感じが逆にかっこいい、なんて…わたしはおかしくなってしまったんだろうか
翔「ほら、早く」
その一言でキャストが一人ずつ動き出す。
…すれ違いざまにきっと睨んでるであろう降り注ぐ鋭い視線に益々顔があげられない
背後にある扉が開く音がしてバタン！と大きく響く音にビクリと肩があがる
しばらくして音が止んだのをきっかけに顔を上げれば、愛華さんが残っているのに気付いた
愛華「なんで…」
翔「俺、あんたに用ないんだよね」
その言葉にスっと立ち上がった愛華さんは真っ直ぐわたしの所に来て良かったわね、って引きつった笑顔
その目が許さないって真っ直ぐに伝えてきて身体が震えた
一瞬でこの後起こる出来事が想像出来る
あぁ、目立ちたくないのに…
この男がそんなちっぽけな希望を打ち砕く
理不尽
その一言に尽きると思った
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作者名：はーちゃん | 作成日時：2019年11月19日 20時
