12話 ページ13
カレンダーを一瞥して思い返す。
もうすぐ我々国が滅んだ日＿＿＿正確にはグルッペンが死んだ日だ。
瞼の裏に鮮明に焼き付いて離れないあの日の光景。
忘れようにも忘れられない出来事。
本来なら敗戦することはなかった戦争。
そう、本来なら。
戦争が始まる数週間前、ゾムは敵国へ潜入していた。
いつもと同じように私の頭を撫でて「行ってくる」と、城を飛び出した。
所詮私はただの猫。
何もできない無力な存在。
だから飼い主の帰りをいつも通り待った。
でもいつまで経っても彼は帰ってこなかった。
最初はただ単純に任務が長引いているだけだと思った。
何なら彼は2ヶ月経って帰ってきたこともあった。
少しの寂しさを抱えながらも私は大切な飼い主の帰りを待った。
その直後だった。
トントンとオスマンが会話している場面に直面したのは。
詳しい話は憶えていない。
けれどほんの一言
「ゾムが死んだ」
それだけは憶えている。
何かの冗談だと思った。
きっと彼が帰ってくるのがあまりにも遅いからそんなくだらない話をしているのだと。
いつもの悪ふざけだと。
そんな希望はいとも簡単に打ち砕かれた。
私に気付いたトントンがひょいっと体を持ち上げて悲しそうに言ったのだ。
「お前の飼い主は、死んだんや」
猫の私に冗談を言うほど彼は馬鹿ではない。
それに今にも泣きそうな顔をしている書記長を初めて見た。
あぁ、本当なんだな。
彼は、ゾムは死んでしまったのだ。
悲しくて苦しくて胸に大きな穴が空いた感じがした。
体に傷を負ったわけではないのに痛くて痛くて仕方がなかった。
もう二度と帰ってこない彼の部屋はひどく静かだった。
ベッドにいつもあった温もりは消え、部屋の隅には埃が溜まり、もう着られることのないパーカーは寂しそうに吊るされていた。
「A」と名前を呼んでくれる彼はもういない。
数日後に今度はこんな話を聞いた。
「ショッピ君が死んだ」
という話を。
彼もゾムと同様の任務を与えられたらしい。
敵国への潜入＿＿＿並びにゾムの死体を回収せよ、と。
でも彼も帰ってこなかった。
生意気だけどそれでも皆にとって大切な後輩だったのだろう。
いつも殺意を向けられていたコネシマもキャラを盗られてわめいていたシャオロンも悔しそうに泣いていた。
もちろん私にとっても大切な存在だった。
暇な時は私のところへ来て遊んでくれた。
ゾムがいないときには代わりに世話をしてくれた。
そんな優しい人だった。
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アイス食べたい(プロフ) - 宇琉夜ハルさん» cnが含まれていないのは「現段階」では本編に登場しないからです。ネタバレになるので詳細を伝えることは出来ませんがcnは後々出てくるので楽しみになさってください。 (2021年7月17日 1時) (
レス) id: 6cf21ff731 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - この小説に入ってるかどうかわからないんですけど18話でciノさんの戦争狂の総統みたいな書いてないです (2021年7月17日 1時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
アイス食べたい(プロフ) - 宇琉夜ハルさん» わー！！恥ずかしい誤字をしてますね！！syh誰だよ！？全然気付いてませんでした(^^;)即刻修正いたしました。ご指摘ありがとうございます！ (2021年7月17日 1時) (レス) id: 6cf21ff731 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 10話でshpさんの名前違いますよ！(syh｢｣となってます！) (2021年7月17日 0時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 面白いですね。応援しているので頑張って下さいね！ (2021年6月13日 15時) (レス) id: eb678d68cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：作者 | 作者ホームページ：https://twitter.com/1126_aisu
作成日時：2019年7月26日 10時
