アメノチハレ

16.D ページ16

〆．



「大毅くん、昨日はごめんなさい」



朝を迎え、Aは深々と頭を下げる。



「ええよええよ、いつもAにさせてもてたし、たまには俺にやらせてや。な？」



「……………………」



Aはしゅーんと落ち込んでる。



「なんかしんどかったんやんな、？」



頭にぽん、と手を置くと、Aは俺を見上げて、ポロポロと涙を零し始めた。



「A……？」



「だめなの、私が悪いの」



「んー？」



まるで子どものよう。可愛くて、ちょっと子ども扱いしたくなる。



「私が…………勝手に、やきもちやいちゃったの、」



「やきもち？」



涙を拭うことなく、Aは続ける。



「政略結婚なのに、ごめんなさい。私、大毅くんのこと好きになりました」



「…………………！」



「大毅くんは政略結婚だからしかたなくなのに、きっと他にいい人いっぱいいるのに、なのに私とで、だから……」



突然の言葉に、気持ちが昂る。



Aが、俺を？



ほんでやきもち？



「………Aは、もっと自分に自信持ちや」



「、」



「俺が惚れた女の子やねんから。な？」



「へ？」



きょとんとしたAが可愛すぎて、ぎゅーって抱き締めてもた。



「ああああもう！なんでそんな可愛ええの！？めっちゃ好き、ほんま好き！」



「ひゃっ」



軽く持ち上げて、ぐるーんと一周。



「不安にならんでや、俺はAがええんやから」



笑いかけると、Aの表情も明るくなった。



「…………うんっ！大毅くん、大好き！」



涙をちっこい手で拭きながら。



「俺も、大好きやで」



その手を掴んで、



そっと唇を重ねた。



〆．

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