時計の針が一周したあとは【Daiki.A】

※※※ ページ27

「んー、一発でこの仕事クビになっちゃう。」

「えっ！？ クビ！？

それって大変じゃん！」



ルール違反へのあまりにも大きな罰。


彼がルールを破らない理由を嫌でも分からされる。



驚きのあまり、食べようとしていたオムライスは再びお皿に戻ってしまった。



「そうそう、仕事なくなっちゃうとか怖いよな。

これはうちの最年長が決めてさ。

普段ニコニコしてんのに仕事になると厳しいの。

でも真剣に仕事と向き合ってるから、俺はルールを破るつもりはないけどね。」



「そっか、なんか大貴達ってちょっとオムライスと似てるね……。」



「え？ なにそれ？ 謎掛け？」



なんとなく、口からすっと溢れてしまった言葉。


それに対して大貴が不思議そうに訊ねてくる。



「なんか、オムライスの卵て綺麗な黄色で人の目を惹くフォルムでしょ？

それが、大貴達のお仕事みたいだなぁって。


でも、本物の大貴達はそのお仕事に隠れて見えないの。

それがオムライスだと卵に包まれているライスの部分。

ほら、オムライスの中身ってチキンライスだったりバターライスだったりするけど、卵に隠れて見えないでしょ？

なんか、こっち側からじゃ分からない感じが、本当の大貴達と似てるなぁって。」



「Aて面白いね。

俺らの仕事をオムライスに例える子なんて初めてだよ。」



お皿に載る少し冷えたオムライスを見つめながら、
説明すれば、大貴からはのんびりした声。



だけど、大貴の顔が見れなくて視線をお皿に集中していたせいで気づかなかったの。



そんなのんびりな声とは真逆。




大貴が複雑な表情を見せていたことに。

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