※※※※ ページ18
深く絡み合う二人の指先を無意識に目で追って下を向いてしまえば、上から柔らかな声が降ってくる。
「ほーら、顔上げて？
目の前にいるんじゃねぇの？」
絡む大貴の指先がピクリと動いて私の指をきゅっと掴んでくる。
それはまるで
“お前の彼氏は俺でしょ？”
そう彼が無言で伝えているみたい。
だから、思わず俯いていた顔を上げてしまう。
「あっ、、」
見えたのは強気な言動とは裏腹に水分が多めの黒目がちの瞳。
思わず言葉が詰まり、泣きそうな表情に負けてしまって“私の彼氏は大貴だよ”て言ってしまいたくなる。
だけど言えない。
だって言葉にしてしまったらこの先、自分の感情が派遣彼氏の彼へと動いてしまいそうで怖いの。
気付けばさっきまで色々な場所から聞こえた楽しそうな声なんて、いつしか耳に入らなくなっていた。
出来上がったのは二人だけの空間。
見つめ合いながら無言で過ぎていく時間で先に動いたのは大貴。
彼がおもむろに視線を自分の腕に落とす。
「まだ1時間ちょっとだもんね。」
二人の空間に響くのは、私の強張りを解くような柔らかな声。
「まだ気持ちの整理もつかないよね。」
「それってどういう意味？」
彼が声と同じ、柔らかく微笑みながら私を見つめてくれる。
「だって、初めて会った男に『俺は今からあなたの彼氏です！ 宜しくね！』ていきなり言われてもね。
気持ちは追いつかねぇよなぁって。」
私の心に寄り添ってくれる、その言葉に彼の指先を強く握り返す。
そうすれば、また大貴からもきゅって握り返してくれる。
「ごめんっ、、
自分で申し込んだのに、、」
罪悪感が募って思わず出た謝罪の言葉。
「謝らないで。 責めてるわけじゃないから。
でもね、ちょっと寂しかったなぁって。
だって俺は会った瞬間。
ううん、会う前からAのことちゃーんと彼女だって思ってたんだもん。」
言葉と同じ沈んだ大貴の声に胸が苦しくなる。
きっと普通のお客さんなら大貴と過ごすこの時間は、彼のことを本物の彼氏だって想って過ごすはず。
だから、彼だって本当の彼女のように想ってくれる。
だけど、私は？
大貴より先に思い浮かぶのは元カレのことばっかり。
彼にちゃんと向き合えてなかったんだって気付かされる。
さっき大貴が苦しそうにした問い掛けの意味がやっと分かったの。
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☆☆さお☆☆(プロフ) - きんぐとるさん» コメントありがとうございます！そして返信が遅くなり申し訳ありません>_< 皆さんにたくさんキュンキュンしてもらいたくてこのお話を書いているのでとっても嬉しいです！ 今は他作品との兼ね合いでゆっくりですが、更新頑張ります。 (2019年8月10日 22時) (
レス) id: a03ad133de (このIDを非表示/違反報告)
きんぐとる - キュンキュンしてしまいました！！次の更新楽しみにしてます！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ (2019年7月29日 23時) (レス) id: fcf34ec103 (このIDを非表示/違反報告)
☆☆さお☆☆(プロフ) - 有颯さん» ありがとうございます！ いっぱい甘くてちょっと切ないがこのお話のテーマなのできゅんと切なさを感じていただけてとっても嬉しいです(^^) この先も色々な展開を用意しているのでこれからも宜しくお願いします！ (2019年6月17日 19時) (レス) id: a03ad133de (このIDを非表示/違反報告)
有颯 - 初コメ失礼します 、!! この作品 、切なめ で なおかつ きゅんきゅん して とっても お気に入りです 、大変 だと 思いますが 、更新頑張ってください ! 楽しみ に してます !! (2019年6月16日 20時) (レス) id: cc82cfbdba (このIDを非表示/違反報告)
☆☆さお☆☆(プロフ) - A氏のよめ。さん» コメントありがとうございます！ 更新スピードもゆっくりで時間もバラバラですがこれからもこのお話を宜しくお願いします>_< (2019年6月3日 20時) (レス) id: a03ad133de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆☆さお☆☆ | 作成日時：2019年4月13日 0時
