DAY2:言の葉 ページ3
初めて言葉を交わした午後5時半
DAY2:言の葉
「はじめさーーーん」
目の前の彼はスーツ集団に向かって誰かの名前を呼ぶ。
呼ばれた本人であろう、その人がこちらに向かって来る。
「はじめさん、この写真見て下さい」
「んー、どれー。え!めっちゃ良い写真じゃん!」
はじめさんと呼ばれた背の高い彼は、写真を見て驚く。
お褒めの言葉を添えて頂きながら。
「何で俺達の事撮ってたんですか?」
彼もやはり撮られた理由が気になったのだろう。
先程、もう1人の彼に述べた理由を説明する。
「なるほど〜。実際めっちゃ楽しかったしね」
「確かに」
確認し合う2人は楽しそうにまた笑う。
よほど楽しかったんだろうなあ。ますます何をしていたか気になる。
「あ!もしよかったら、この写真頂けませんか?」
『へ?』
「あ、いや、本当に良い写真だったので、思い出に欲しいなあと思って・・・」
遠慮がちに写真が欲しい理由を述べる彼は、少し目が泳いでいた。
そんなに遠慮しなくても、写真が欲しいと思うほど気に入ってくれるのはこちらとしては嬉しい限りだ。
『いいですよ。ちょっと待って下さいね』
今の今までカメラを持って下さっていた最初のスーツの彼からカメラを受け取る。
カメラの設定を色々といじり、そして次にスマホの設定を完了させる。
『これでよし。あの、iPhoneですか?』
「あ、はい!」
少し慌てる様子でポケットからスマホを取り出す。
『もし差し支えなければ、Air dropしてもいいですか?』
「あ、大丈夫です!お願いします」
Air dropを起動してもらい、先程カメラから取り込んだ写真を彼のスマホに送信する。
通知音と共に彼のスマホへ写真が送られた事を確認する。
「ありがとうございます!・・・てか、最近のカメラってすぐスマホで送信出来るんですね」
『はい。便利になりました』
そう言いながらカメラの電源を落とし、スマホもポケットに直そうとした時。
「あの!もし良かったら、LINE、教えてくれませんか?」
『へ?』
「また俺達の写真、撮ってもらいたいなあと思って・・・」
さっきと同じ様に彼はまた目を泳がせている。
その姿が何故か可愛らしく、面白かった。
『いいですよ。まだまだな私の写真で良かったら』
「ありがとうございます!」
パァッと笑顔になった彼は嬉しそうで、その様子を見ながらLINEを交換した。
“彼等”と話すきっかけになったのは、これが最初。
.
207人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「YouTuber」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:hmbmnm | 作成日時:2019年3月8日 1時