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「なあ空閑、ワンヤンアグダって何?」
と自然と聞いてきた久保があ、と口元を抑えた。
名前呼ぶなって言っただろこの戦犯野郎!
とはいえ、流石に聞いてないとは思うけど自然に会話を続けないと不味いと思い、小さい声で返す。
「“何”?って聞いてくんのがもうヤバい。人だよ人。ツングース系女真族で金の初代皇帝。宋と組んで遼挟撃したり猛安・謀克制作ったりしたすごい人」
「凄いのは今言われた言葉が何一つ分からん私の方やわ」
「勉強しろ」
うわぁーんと泣き真似をする久保の足を踏む。
目立つ真似するなバレるだろうが!!!
と久保を睨みつけると久保は涙目になりながらも何故か呆然とした顔で私の頭上を見上げた。
訝しく首を傾げると若干青ざめた顔の久保が顎をしゃくって上を示す。は?、と思いながら上を見あげると、何故か頭上に人の顔があった。
ヒュッと息が止まる。
黒髪に狐目の男は私をじっと見た後、「やっぱり」と言って仄かに口角を上げた。
「おみゃー空閑だで」
頭が真っ白になる。
「・・・・・・何で名前知って、」
「覚えてない?小学校、1年だけ名古屋おったがね」
標準語に変わったと思ったら突然名古屋弁に戻る、でもその名古屋弁に既視感を覚えた。
男に言われた通り確かに私は小学校六年生の時に愛知にいた。
正直あまりいい思い出はないけど、と苦々しく思って、ハッと思い出した。
『何でこんな嫌な思いしてんのにやめんだら?』
そういえばいた、学年で一番モテてバレーが上手いらしくて、ちょっと不思議な雰囲気の男子。名前は確か、
「角名・・・・・・?」
呆然と見上げると、角名はにんまり笑った。
「うん。久しぶり、空閑」
「何や角名、突然後ろの席覗き込みおって・・・・・・」
「タイプの女子でもおったか」
「──────A?」
席を立って回り込んできた治達に見つかる。
目を見開く治に、私はとうとう諦めて「よ、偶然だね」と返した。
治にそっくりの双子が「噂のコガさん!?!?!?」と叫んだけど、どこで噂になってんだか。
ていうかコガって誰?
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あき - 西女ってもしかして神女がモデルだったりします?そうだったらうれしい、おもしろいです‼ (9月4日 21時) (レス) @page6 id: b4d5d428cd (このIDを非表示/違反報告)
やぁでぅん - こんな時間に失礼します。設定もお話も全てがとても面白くて夜の3時ぐらいにイッキ見してしまいました笑笑この作品が大好きなのでこれからも無理のないように更新頑張って下さい!! (2023年5月5日 3時) (レス) id: 92500eea4b (このIDを非表示/違反報告)
エリンギ(プロフ) - マミーポコパンツさん» コメントありがとうございます!恐悦至極にございます!! (2023年3月31日 17時) (レス) id: d64584d3be (このIDを非表示/違反報告)
エリンギ(プロフ) - キョンシーさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて光栄の至りでございます!! (2023年3月31日 17時) (レス) id: d64584d3be (このIDを非表示/違反報告)
マミーポコパンツ - 絵うますぎませんか!?更新楽しみに待ってます!! (2023年3月9日 15時) (レス) @page19 id: 461adb2062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エリンギ(サブ垢) | 作成日時:2023年2月26日 23時