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二限と三限の間に、猫のようにするりと教室に入ってきた和泉が教卓の下にある丸椅子を引っ張り出してきて私の隣に座ってきた。因みに同クラの久保は休みである。休み過ぎてそろそろ進級がヤバい気がするが大丈夫なんだろうか。
そして何かと思えばやっぱり宮の話だった。和泉は他の愉快犯共と違って茶化す様な事もしないので、正直に今朝の事を話すとスン、と真顔になった。
「うわあめっちゃ少女漫画やね。女子校でこんな事有り得るんか?いや、有り得ていいはずがない」
「ちょっと捻った反語やめろや」
「次古典小テストやから・・・・・・」
「・・・・・・私の話聞く前に勉強したら?」
「うん・・・・・・」
ペラペラとやる気なさげに古語用語集を捲る和泉は私と違って真面目なので成績がいい。ちくしょう。
隣から覗き込んで、へえ、今日はそこが範囲だったんだー、と思った。
「あ、そうや、その話を聞きに来た訳じゃなかったわ。A一限古典テストやったろ。範囲教えて」
「最悪か。真面目にやれよ」
「本音は?」
「小テスト寝てて0点だから範囲もクソも知らん」
「最悪やん」
「面目ない」
「私やなくて先生にな」
痛い言葉は流すに限る。そして私には最高の流しネタがあった。
「宮の事なんだけどさ」
「うわ、あんた今最強に無敵やな」
「自分でも思った」
「で、なんや」
「いやあの、このままでいいのかなあって思ってて」
「まだ出会って二日やんか」
「いやそうなんだけど」
頭の中で、今朝治が浮かべていた蕩ける様な甘い笑みを思い出す。あの顔が私に向けられている事実に、普通ならときめく所なのだろうが、罪悪感が勝ってしまう。
「私告白断ったし、正直好きになれるか分からないからさ。あんなイケメン良いようにして申し訳ないと思って」
「立場的にあんたイケメンのアプローチに付き合ってあげてる方やない?キッパリ断ったんねやろ」
「うーん、私的にはそのつもりだったんだけどねえ」
「うちらの中で一番男に免疫ないんやから、丸め込まれた事くらい容易に想像つくわ。寧ろ私は心配してるで、あんたチョロいからすぐ流されそうや」
「えっ」
「困ったらちゃんと相談してよ。男なんて皆バカで見境なしなんやから」
すっかり忘れていたけど、そういえば和泉男嫌いだったっけ。発言に深い闇を感じるけど、こんな誰が聞いてるか分からない場所で聞くのも憚られて、そうするよ、と無難な返事しかできなかった。
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あき - 西女ってもしかして神女がモデルだったりします?そうだったらうれしい、おもしろいです‼ (9月4日 21時) (レス) @page6 id: b4d5d428cd (このIDを非表示/違反報告)
やぁでぅん - こんな時間に失礼します。設定もお話も全てがとても面白くて夜の3時ぐらいにイッキ見してしまいました笑笑この作品が大好きなのでこれからも無理のないように更新頑張って下さい!! (2023年5月5日 3時) (レス) id: 92500eea4b (このIDを非表示/違反報告)
エリンギ(プロフ) - マミーポコパンツさん» コメントありがとうございます!恐悦至極にございます!! (2023年3月31日 17時) (レス) id: d64584d3be (このIDを非表示/違反報告)
エリンギ(プロフ) - キョンシーさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて光栄の至りでございます!! (2023年3月31日 17時) (レス) id: d64584d3be (このIDを非表示/違反報告)
マミーポコパンツ - 絵うますぎませんか!?更新楽しみに待ってます!! (2023年3月9日 15時) (レス) @page19 id: 461adb2062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エリンギ(サブ垢) | 作成日時:2023年2月26日 23時