すれ違い.10.竹林孝太郎 ページ11
「赤羽さん、君は今からどうするんだ？もう次の授業は始まってるし…」
『ん〜…もう少しここにいるよ
今の授業が終わりそうになったくらいに戻ろうかな』
「…そっか
じゃあ、僕は先に戻ってるね」
『あ、そっか
竹林くんだって授業受けたいよね、ごめんね、引き止めるみたいになっちゃって』
「いいんだ
僕が勝手にここにきて勝手に話しかけたんだから」
『ふふ こちらこそ、話聞いてくれてありがとね』
赤羽さんは、微笑んでくれた
優しくて、久しぶりにその笑顔を見ることができて、嬉しかった
『あ、そうだ』
僕が屋根から降りようとハシゴに足を掛けたとき、赤羽さんは声を出した
気になって赤羽さんのほうを見ると、赤羽さんも僕のことを見ていたみたいで、目が合った
『竹林くん、せっかく3年間同じクラスなんだし、友達になろうよ
私のこと、Aって呼んで！』
「え？で、でも僕なんかがそんなっ…」
『僕なんかじゃない！竹林くんだから友達になりたいの！』
彼女は、顔が整っているし、勉強もできるし、優しい
だから、1年生の頃から彼女は人気だった
でも彼女の周りには、どこか近寄り難い雰囲気があって、実際 彼女と特別仲が良さそうにしている生徒を見たことがない気がする
──────いや、違う
彼女と仲が良かった…親友だと言えるくらい一緒にいた生徒がいた
確か彼女は、あの──────────
『ねえ竹林くん聞いてる？ちゃんと名前で呼んでね！呼び捨てだよ！さんとか付けたらダメだから！』
「う、うん わかったよ」
『やった！じゃあ竹林くん、これから1年よろしくね！』
それじゃあまたあとで、そう言って手を振ってきた彼女に、僕はなんの言葉も返すことができなかった
彼女と友達になったこと、名前を呼ぶように言われたこと、それよりももっと僕には気になることがあったから
それは、彼女ととても仲がよかった、あの生徒について
彼女だって、E組だ
なのになぜ、Aが来た時になんの反応も示さなかったのか
それが気になって、僕は教室に戻ったあとも先生の授業なんて耳に入らなかった
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 379人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙羅 - 更新楽しみにしてます！！ (2020年3月4日 20時) (
レス) id: 6b1841d04d (このIDを非表示/違反報告)
偽善少女(プロフ) - すっごく面白いです！！次のお話が楽しみです！頑張ってください！ (2020年1月19日 10時) (レス) id: 04840ecaec (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 琥珀くんさん» 初めて同じ名前の方をみました！ありがとうございます！ (2019年11月25日 22時) (レス) id: 993d76a7e4 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん - 同じ名前ですね!再新頑張ってください!!応援します！ (2019年11月5日 22時) (レス) id: 8bf3196fdf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - あかりさん» ありがとうございます！これからも頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年8月12日 18時) (レス) id: 993d76a7e4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥珀くん | 作成日時：2018年12月23日 18時
