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誰にも内緒で、大野先輩と学校の外で会った。
金髪の先輩は学校で会うよりも大人っぽく見えて、自分が子供過ぎないか心配になった。
プロの試合を観てる先輩は騒ぐと言うよりも腕を組んで真剣にじっとコートを見詰めていて、私はその横顔をずっと見ていたくて、でもそんな不自然な事は出来ないから必死でコートに目を向けていた。
だけどそんな彼も応援してた方のチームが勝利した瞬間、大声で叫んで私に何度もハイタッチ。
私はと言うとハイタッチに驚いてしまって、その後の事をあんまり覚えてない。
「おれも頑張ろ！」
帰り道でそう言った先輩の最後の試合が迫っていた。
負けたらそこで引退。
負ける事なんか考えたらいけない。
1日でも長く、先輩とバスケ部で過ごしたい。
だから精一杯サポートしてた。
「ごめんね、負けちった」
みんなボロボロに泣いてた試合後、先輩は眉毛を下げて小さく笑った。
私達マネージャーや試合に出てない部員達に頭を下げた先輩は、そのまま試合会場を出て行った。
追いかけてしまったのは、もう本能だったのかもしれない。
こんなの、みんなに私が大野先輩好きな事バレるな...って思ったけど、もうそんなのどうでも良かった。
それよりも先輩の傍に居たくて、それだけしか無くて...。
先輩は最寄り駅に行く途中の公園に居た。
ベンチに座って、足元には大きな部活用のスポーツバッグ。
「大野先輩！」
「Aちゃん、どしたん」
「どしたんって...先輩出てっちゃったから...」
「こっちおいでー」
ふふ、って笑った先輩が私を手招いた。
隣に座ると、また先輩はふふって笑う。
「みんな、大丈夫そうだった？」
「...先輩の後にすぐ出て来ちゃったから...分からなくて...」
「マネージャーなんだから、落ち込んでるみんなを励ましてあげなきゃー」
「...そうですよね、ごめんなさい」
でも私は先輩を放っておけなかった。
だって、笑ってるけど先輩の目は真っ赤だ。
「先輩、お疲れ様でした...」
「あは、ありがと」
「.....」
「泣くなー」
「...ごめんなさい...」
先輩の親指が、私の目の下を撫でる。
次の瞬間、微笑んだ先輩の唇が私の唇に触れた。
「Aちゃん、好きな人いる？」
「...えっ...？」
「順番間違えた。普通は先に訊いて返事貰ってから、チューか」
笑った先輩の声が、私の心を撫でて行く。
「おれ、Aちゃんが好き。知ってた？」
知らないよ、って私も笑った。
部員とマネージャーじゃなくなった、夕方。
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めぐお(プロフ) - 久しぶりに読んだイロコイ。やっぱり大好きなお話です。残してくれてありがとうございます。 (2022年9月16日 16時) (
レス) @page47 id: 17cbbe6ec7 (このIDを非表示/違反報告)
莉依(プロフ) - 何度読んでも、やっぱりイロコイのお話は良い。大好き。 (2019年1月8日 0時) (レス) id: c571097cf8 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 結城ちゃんがビール飲めるようになってることに感動です( ；∀；) (2018年8月24日 15時) (レス) id: f393ece0e8 (このIDを非表示/違反報告)
mama(プロフ) - やーっと読むことができました。先生の『行間を読みなさい』が久々に聞けてドキドキしちゃいました。それぞれの恋のはじまりが丁寧に伝わりました。もう、恋をする年齢ではないけれど、お話の中では恋をしていきたいな。レイさん、いつもありがとうございます。 (2018年8月14日 6時) (レス) id: dc084211e8 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - イロコイ…続きが拝読出来て感動♪それと大野さんの「ともちゃんが猫を拾ったあの時、おれは恋を拾った」に心臓がドキューンと殺られたｗｗｗ (2018年8月8日 21時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2018年5月21日 18時
