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それぞれトイレに立ったり飲み物を買いに行ったりしてる間に、座る場所が入れ替わり始めた。
ミカも知らない内に私の向かい側で男子の隣に座ってる。
そして、私の隣には翔くん。
でも別に何か喋る訳でも無くて、彼は投げる人を必ず見て全部にリアクションしてる。
ストライク取った子とは全力で喜んで、惜しかった子には同じように悔しがる。
ボウリングは面白くないけど、そんな翔くんを見るのは面白くなって来た。
「Aちゃん、次はもう少し重い球使ってみたら良いと思う」
「重い球？」
「うん。コースは良かったから、後は球の勢いだと思うんだよなー」
投球に行こうと立ち上がった私に向かって翔くんが話し掛けて来たから「分かった」と、12ポンドの球に変えてみる。重い。
だけど、ピンはパーンと弾けるように今日最高の8ピン倒れた。
思わず振り返ると、翔くんが両手を挙げて立ち上がってる。
結局スペアは取れなかったけど、席に戻ると翔くんは「すげすげ！もう次はストライクだわ、間違いない！」とか言ってパンパンとハイタッチして来た。
結果から言えば、私はその後もストライクはおろかスペアも取れなかったんだけど。
いちいち一緒に喜んでくれたり悔しがってくれる翔くんのお陰で、苦手なボウリングが楽しいと思えた。
「せっかくだし飲みに行こっかー」
「そーだねー！」
「俺、良い店知ってる！」
ボウリング場を出た所で、皆が話してる。
「Aちゃんも行く？」
「え？あー...」
翔くんに訊かれて、ミカを見たら「Aも行こ！」って言われた。
「...何か、行く方向みたい」
「アハッ！全然乗り気じゃない！」
「乗り気じゃないって言うか...」
まだこの合コンみたいな雰囲気に抵抗感があるのか、私は素直に「行く！」って言えなくて。
だけど本当は目の前でケラケラ笑ってる彼と、もう少し喋ってみたいって思ってる自分に戸惑う。
だってそれって、結局合コンを受け入れたって事だし。あんなに嫌がってたのに、格好悪い。
皆が歩き出す。
どうやら行くお店が決まったらしい。私も一応ついて行く。
隣には翔くん。
「いいの？Aちゃん」
「え？」
「乗り気じゃないんじゃないの？」
「そういう訳じゃ...」
「ってか、俺はもう抜けたい」
「そうなの？」
翔くんの口の端が緩く上がった。
「俺、Aちゃんとだけ仲良くなれたら良いんだけど」
え？と彼を見上げる。
「俺と抜ける気、ある？」と、彼は意地悪に囁く。
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めぐお(プロフ) - 久しぶりに読んだイロコイ。やっぱり大好きなお話です。残してくれてありがとうございます。 (2022年9月16日 16時) (
レス) @page47 id: 17cbbe6ec7 (このIDを非表示/違反報告)
莉依(プロフ) - 何度読んでも、やっぱりイロコイのお話は良い。大好き。 (2019年1月8日 0時) (レス) id: c571097cf8 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 結城ちゃんがビール飲めるようになってることに感動です( ；∀；) (2018年8月24日 15時) (レス) id: f393ece0e8 (このIDを非表示/違反報告)
mama(プロフ) - やーっと読むことができました。先生の『行間を読みなさい』が久々に聞けてドキドキしちゃいました。それぞれの恋のはじまりが丁寧に伝わりました。もう、恋をする年齢ではないけれど、お話の中では恋をしていきたいな。レイさん、いつもありがとうございます。 (2018年8月14日 6時) (レス) id: dc084211e8 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - イロコイ…続きが拝読出来て感動♪それと大野さんの「ともちゃんが猫を拾ったあの時、おれは恋を拾った」に心臓がドキューンと殺られたｗｗｗ (2018年8月8日 21時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2018年5月21日 18時
