【名探偵コナン】家出少女は公安の彼と恋人説

＊story 68＊ 過去 ページ28

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最初こそ、私は明美さんを警戒していたものの、彼女の柔らかな笑みは、すっかりと私の心の壁を壊していた。





「へぇ〜明美さんって、恋人がいるんだ」

「そうよ。こう見えてもね」




パチッとウインクをする彼女はお茶目で、こう見えての意味がよく分からないほど可愛らしかった。


“恋人”というものがはっきりと思いつかない私だったけれど、彼女が『大くん』の話をするたびに、幸せそうな顔をするもんだから、

それがとても大切な存在であるのだと勝手に思っていた。






「明美さんにそんなに大切に思われているなんて、大くんって人は幸せね」




何気なくポロッと口に出た言葉だった。

だから、私には明美さんがそんなに悲しい顔をするとは思わなかったんだ。



さっきとは打って変わって、寂しげな儚い笑みを浮かべた彼女は、今にも泣きそうに見えた。




「……私も…………。大くんに、幸せになって欲しいな」




辛うじて絞り出したような言葉は、その時の私には理解出来なくて、頭にハテナマークを浮かべて明美さんを見つめていた。


そんな私に明美さんは微笑みかけて、クシャクシャと頭を撫でた。





「……レディちゃんにも、いつかわかる時が来るわよ」









人を愛すということの意味を。







、







それは幸せなだけじゃなく、辛く苦しいものであることを。








、









でも、人はそれでも人を愛さずにはいられないということを。








、









その後、明美さんは遠くへ行ってしまい、私が彼女の行方を知ることになったのは、







、








彼女がもう帰らぬ人となったあとだった。

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