file5 ページ7
翌朝。発展し過ぎた都市では絶対に見られなかった、清々しいお手本のような朝日を浴びながら私は正座をさせられていた。目の前には腕を組んでこちらと、昨晩狩り尽くしてきた獲物の山を交互に見る天才少年。
いやほんとどうしてこうなった。
何も怒られるような事はしていないはずだが。
｢あのなぁ、夜目の利かない哺乳類様がこんなほっせぇ頼りない武器ひとつで、ジャングルと化したこの山ん中走り回るっつーのはよぉ…ハッキリ言って自ｻﾂ行為だぞ。｣
｢いや！大丈夫だよ、私サバイバルには慣れてるし。｣
｢違ぇ。あの何でもかんでも手に入る時代のサバイバルとは訳が違うんだ。一歩間違えば喰われるか、谷底に落ちて即死。もしくは変な毒で死ぬとかな。｣
｢でも、その…こうして無傷だし……ね？｣
千空｢食料をこんだけ確保してもらった事は、実におありがてぇが…森ん中で死んで帰ってきませんでしたーなんてことが起きたら寝覚めが悪ぃ。｣
｢…そんなヘマしないけどねぇ…私…｣
｢それと、せっかく増えた人手を失うにはいかねぇしな。｣
絶対本音100そっちじゃん。
確かに一般人として自分を紹介したにしては、夜間狩りはナンセンスだったかもしれない。普通の女が夜間に鹿とか狩れるわけないしね。猛省。
｢どうしてもしてぇなら夜間じゃなくて昼にしろ昼に。そもそも肉や魚が食いたいなら罠を仕掛けりゃいい。｣
｢罠、か。その手があったね。｣
千空｢だろ。とにかく、この資源はありがたく使わせてもらうぜ。動物は食料、服、武器なんでも作れるありがてぇ資源だからな。｣
お説教(仮)を終えた千空くんは早速目を輝かせながら獲物を捌き始めた。喜んでもらえたようで何よりだ。
｢料理とか布の調達はこっちでやるから、千空くんは家作りに専念しなよ。｣
｢あ？あー、まぁ、そうだな。素人がカッ捌くよりサバイバル慣れしてる人間に頼んだ方が何億倍もはえーか。｣
｢そうそう、たくさん肉焼いたげるからね。｣
何か言いたげな顔をしていたが、｢んじゃあ、そっちは頼むわ｣と作りかけの家の方へ歩いていった。
｢よし、いっちょやったりますかねぇ。こういうの久々にしたなぁ。食べるもの無かった時期はドブネズミ捕まえて、ライターで少しずつ炙りながら食べてたっけ。｣
懐かしー、なんて笑いながら鹿の横腹に石器ナイフを刺しこんだ。ウキウキで獣の腹をカッ捌く女を、天才少年はなんとも言えない顔で見ていたという。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←profile
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翔月 | 作成日時：2023年10月28日 0時
