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夜明け前の空はどこか不安げらしいよ ページ7








夜風に長く真っ白な髪の毛がなびいた。外に出たのだ。ふたつに結っていたが風圧でリボンが切れてしまったらしい。




「みんなは……無惨様、は……」





耳をすませると向こうの方で微かに物音がした。
あっちの方に気配を感じる。
瓦礫の上を器用に走り、みんなの元へと向かう。
無限城から引きずり出された場所は市街地だった。
無惨様と出かけたこともある。



''その服、とても似合っているな''


''初めて見るのか?これはこうする道具だ''


''欲しいものはないのか?なんでも買ってやるぞ''





貴方がたとえどんなに酷くて冷たくて憎まれていて
残虐であっても。





____私の中では貴方が一番大切な人。







殺してばかりの貴方は生きる意味をくれた人で。






怒ってばかりの貴方の手は誰よりも優しく私の頭を撫でてくれた人で。








たとえ姿が変わっていようとも



それがどんなに醜い姿でも




きっと私は______




「………無惨、様っ!!!!!」




初めて貴方に甘えた時のように、
大きな声で呼んで、貴方の背中に抱きつくでしょう。







無「っ!!!」






「もう………もう、やめて!!!お願いだから!
誰も殺さないで!誰も傷つけないで…!!」






これはきっと貴方が人間に戻れる最後のチャンスだ。
逃せばきっと無惨様は戻れなくなる。
誰も戻そうとしてくれなくなる。





鬼殺隊の人々はどんな形であれ唯一私達と向き合ってくれている。それを滅ぼしてしまえば一体誰が私たちをこの絶望から助けてくれる?





「やめようよ……もう人を殺さないで…
皆の幸せを奪うだけの化け物にならないで



私が大好きだったのはそんな貴方じゃない!」





無惨様の背中から生えていた触手の攻撃がピタリと止んだ。柱の人達もこちらの様子を伺っているようだった。皆、ぼろぼろで血まみれで痛々しい。
そんな皆を見て私は無惨様の背中にしがみついたまま、やめてくれと何度も叫んだ。






無「………煩い。」



私の体はいつの間にか宙に浮いていた。
地面に背中を打ち付けてから引き剥がされたのだと気づいた。




無「鬼狩りはさっさと片付ける。お前は先に日陰に入っていなさい。」




「無惨様…」





再び攻撃を始めてしまった彼の背中をぼやける視界で見つめた。声が届かないのなら届くまで




「やめろって言ってんでしょ!!馬鹿ぁぁ!」




何度でも背中に引っ付いて耳元で叫びちらしてやる。

無弦の鬼と最初の鬼らしいよ→←無弦ノ零の鬼が生まれたらしいよ



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ふゆねこ(プロフ) - 今更ながら全て読ませて頂きました!!とっても面白くて大好きです!!!最後の方ずっと泣きっぱなしでした笑 素敵な作品に出会えてとても嬉しいです!! (8月14日 14時) (レス) id: 8e85720291 (このIDを非表示/違反報告)
あいみ(プロフ) - 一から全部見させて頂きました!!!何かもう、最高すぎて、途中鳥肌たったり。最後もう感動しすぎて、号泣しましたよ。最ッッッ高です!ほかの作品も更新頑張ってください! (2022年6月13日 13時) (レス) @page30 id: 2cf40cafe5 (このIDを非表示/違反報告)
指切り(物理) - 素敵な作品をありがとうございましたァァァァァァ! (2022年4月29日 19時) (レス) @page30 id: dfc5bee49e (このIDを非表示/違反報告)
桃の缶詰 - 面白すぎて1日で読み終えてしまいました!!すごい感動しました。この作品の設定とても好きなので、番外編とか書いて下さると嬉しいです。お忙しいと思うので、書きたくなったらお願いします!!ずっと待ってます!!! (2022年2月25日 21時) (レス) id: d0d8222ebf (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃん(プロフ) - 全部読み通しました!めっちゃ感動しました!ありがとうございます😭 (2022年1月2日 15時) (レス) @page30 id: 383abb7ef4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翔月 | 作成日時:2020年10月9日 16時

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