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身体中にある脳よりも、本能が先に体をつき動かしたのだろう。Aを焼けさせまいと私の体で日陰を作る。
わからなかった。
死は恐ろしい。私に張り付く目障りな黒い影。
鬼となり恐れることはなくなっていた死がそこまで来ているというのに私は庇った。
【生きろ】
初めて他の命にそう思えた。
退屈しのぎに拾った子供にここまで執着するとは自分でも驚きだ。
元の白い髪に戻ったAを見つめる。
人間からしたらこの髪と目の色は異常なのだろう。
そのせいで親共に殺されかけていた。
容姿など魂に肉付けされたものでしかないのに
人間はそれだけで差別をするのだ。
__どこが醜い?どこが、化け物だ?
こんなにも美しいではないか。
『…… 無惨、様…、ありがとう…ありがどう''ございます、私は貴方の側に居られて本当に……
本当に幸せでした………っ』
幸せ。
そうか、お前は幸せだったか。
たとえ日の下を歩けずとも幸せだとそんな笑顔を浮かべられるか。
本当に何処までも愛おしい存在。
Aのかけた血鬼術によって私は光の射す方へと歩いていた。私の辿った後には血の足跡がついていた。
私は何となくそれを見つめていた。
無「罪と罰……か。人間が考えそうな事だ。」
私は光の射す方に背を向け暗い方へと歩いた。
私にはまだ光は目に毒なようだ。
無「……光に似合うような魂になって
再びお前に逢おう。今度こそ日の下を共に歩けるように。」
ぺたりぺたりと赤黒い足跡を付けながら
闇夜の方へと進んだ。
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ふゆねこ(プロフ) - 今更ながら全て読ませて頂きました!!とっても面白くて大好きです!!!最後の方ずっと泣きっぱなしでした笑 素敵な作品に出会えてとても嬉しいです!! (8月14日 14時) (レス) id: 8e85720291 (このIDを非表示/違反報告)
あいみ(プロフ) - 一から全部見させて頂きました!!!何かもう、最高すぎて、途中鳥肌たったり。最後もう感動しすぎて、号泣しましたよ。最ッッッ高です!ほかの作品も更新頑張ってください! (2022年6月13日 13時) (レス) @page30 id: 2cf40cafe5 (このIDを非表示/違反報告)
指切り(物理) - 素敵な作品をありがとうございましたァァァァァァ! (2022年4月29日 19時) (レス) @page30 id: dfc5bee49e (このIDを非表示/違反報告)
桃の缶詰 - 面白すぎて1日で読み終えてしまいました!!すごい感動しました。この作品の設定とても好きなので、番外編とか書いて下さると嬉しいです。お忙しいと思うので、書きたくなったらお願いします!!ずっと待ってます!!! (2022年2月25日 21時) (レス) id: d0d8222ebf (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃん(プロフ) - 全部読み通しました!めっちゃ感動しました!ありがとうございます😭 (2022年1月2日 15時) (レス) @page30 id: 383abb7ef4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翔月 | 作成日時:2020年10月9日 16時