第9話−白沢 麻友− ページ11
昔から1人でいることが多かった。
学校に行っても友達は作れず、どこか寂しく、悲しげな毎日だった。
お父さんもお母さんも決して育児放棄をしていたとかそうゆうわけではない。でも、まだ幼かったあの時の私はそう感じていた。
そんなある日、私を今の私へ変えてくれたのはお母さんだった。
『ねぇー、ねぇー。お母さん。麻友の名前どーやってつけたのー?なんか意味あんのー?』
『そうね、あなたの名前には麻っていう字が入ってるでしょう?』
『あさ...?なにそれー?』
お母さんは優しく微笑み、私を太ももの上へ乗せた。
『麻っていうのはね、洋服とかの生地でね、すごーく、すごーく、かたくて、丈夫なのよ。』
『うーん...。それで?...ゆ!!はー?』
『麻友のゆ。これは友達の友っていう字よね?』
友達....。
その言葉は反射的に私をつついた。
『ん?どうしたの、麻友。そういえば、小学校どんな感じなの?もう麻友も3年生ね。ちゃんと友達作れてるの?』
私は顔を俯かせ、しばらくの間沈黙した。
お母さんは再び微笑み、頭をそっと撫でた。
平日はもちろん、休日ですら家にいる時間が少ないお母さん。それでも、その行為にちゃんと愛情があると伝わった。そして、涙が零れ、止まらなかった。
『いい?麻友。かたくて丈夫な麻、友達の友で"麻友"ってお名前。』
そう言い、私の泣き崩れた顔を上げ、両手でおさえた。
『お母さんとお父さんはね、麻友に大事な大事なかたくて丈夫で強い絆の糸で縫い合わせたような、そんな友達をいっぱい作って、友達思いな子になってもらいたくて"麻友"っていう名前をつけたよ。だからね、麻友にはいっぱい友達と仲良くなって欲しいな〜。』
『....でも、麻友は.....、全然お友達つくれなの......。みんなと...みんなと、お話したり、遊んだり、したいけど....、どうしたらいいかわかんなくて....。』
すると、今度は両手で私のほっぺたを優しく引っ張った。
『ほら!麻友ちゃん、にっこり!とっても可愛い!お母さんはね麻友ちゃんが笑った時すごく元気になるな〜。だからね、きっと、麻友ちゃんのにっこり笑顔があれば、友達いっぱいつくれるよ!』
『えがお...?』
『そう!笑顔!麻友は友達が作れたら、助け合って友達を守るのよ。そのにっこり笑顔で!』
『...うん!!』
━━━━━━━━━━━━━
そう、私は初めてお友達になれた2人をにっこり笑顔で守るんだ!
だから....
「....逃げて!!」
二人を守りたいよ..!
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:詩雨・yuuhi | 作成日時:2018年8月10日 19時