検索窓
今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:48,711 hit

ページ10

.





じゃあ、私はこれで行きますね?と看護師さんはどこかへ去り、今は彼女の病室に彼女と二人きり。

さっきまでは気にしていなかったが、病院独特の匂いが鼻にきて、少し顔を顰める。




“薬の匂い、凄いですよね”



そんな俺の様子を見て、彼女はそう書いたメモをこちらに向けた。

はい、なんて返せば、くすくすと笑った彼女。

だけどそれは一瞬で、彼女は真剣な眼差しになったかと思えば、俺の手に自分の手を重ねた。





「え、………っ?」



あまりに突然のことにオドオドしていると、彼女は“聞いていいんですよ”なんて。


(…………聞いていいんですよ、って……そんな)




軽々しく聞いていいものなのか。病院で車椅子に乗って生活しているんだ、きっと軽い怪我じゃないんだろう。

下を向いて黙っていれば、トントンと俺の肩を叩いた彼女。

そっと顔をあげれば、メモ帳が目の前にあって。





“足、生まれつき悪いんです”



ついでに声も、そう付け加えられたメモ帳に、俺は彼女の表情を伺った。

彼女は……笑っていた。

悲しそうに、苦しそうに。










.

▽→←▽



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (155 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
101人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

きゃろっと。(プロフ) - こめさん» コメントありがとうございます!ほ、本当ですか…!?私が涙を拭って差し上げましょう…(?) (2017年12月10日 11時) (レス) id: ce4d5e16ec (このIDを非表示/違反報告)
こめ(プロフ) - きゃろっとさんのお話いつも泣いてしまいます…、めっちゃいい話でした!お疲れ様でした! (2017年12月9日 15時) (レス) id: 7e64236892 (このIDを非表示/違反報告)
きゃろっと。(プロフ) - 風音迷夜さん» コメントありがとうございます!本当ですか、良かった…;;そう言ってもらえてとても嬉しいです…(´>///<`) (2017年12月8日 23時) (レス) id: ce4d5e16ec (このIDを非表示/違反報告)
風音迷夜 - めちゃ良い話でした!僕坂田さん憧れの人なんで、坂田さんの小説見れてよかったです! (2017年12月6日 19時) (レス) id: b791237619 (このIDを非表示/違反報告)
きゃろっと。(プロフ) - 紅鴇ベニトキ@pc垢さん» コメントありがとうございます!そうです私です…(?)こちらこそ読んで頂きありがとうございました…!!;; (2017年12月6日 16時) (レス) id: ce4d5e16ec (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きゃろっと。 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年12月5日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。