09.秘密の付箋 ページ9
「おはようございます、」
何も変わらないオフィス。同期たちは相変わらず忙しそうに動いてる櫻井を目で追っていた。
「ねぇ、A、」
「ん？」
「櫻井さんにさ、好きな人か彼女いるか聞いてきてよ」
アンタなら私たちよりも仲がいいんだから聞けるでしょ。そう言った一人の同期に続いて他の同期たちが「うんうん」と頷いた。
「ヤだよ(笑)」
知ってるよ、本当は。
でも、教えたくない。知ってどうするの？悔しいだけ、苦しいだけだよ。
「はぁ、今日もカッコいい････うし、仕事頑張る！！」
そう張り切った同期は、さっさと自分のデスクに戻っていった。
昨日のことなんて忘れたかのように「おい、」って普通な櫻井さん。
普通すぎて困っちゃうくらい、本当に普通。
「おい、」
「はい、」
「またここ間違えてる。今日中」
やっぱり厳しいけど、櫻井さんの想いを知った今、「もう！」なんて怒る気持ちになんかなれなかった。
「翔くん、」
「ん？なに、スズカ」
「今日さ〜、仕事終わったら呑みに行こ？」
山本さんがいい匂いをさせながら、さりげなく櫻井さんの肩に手を乗せた。
「今日みんなで飲み会ある、」
「･･･旦那が出張なの、」
「じゃあ、途中で抜けるわ」
私の前でベラベラ話し出した櫻井さん。え、聞いてていいの？
「うん、分かった」
山本さんが、楽しみにしてる。と綺麗に笑って去ったあと、そう言うことだから。と少し儚げに言った。
「昨日の話は忘れて？あれ？酔っ払ってたかな〜」
「お酒飲んでなかったじゃないですか、」
「･･･うるせ」
ぶっきらぼうに、書類を私に渡して「早く終わらせろ」そう言うと自分のデスクに帰っていった。
＿＿『昨日はごめん』
やり直しの付箋の下のもう一枚の付箋に書かれている綺麗な文字。
ドキッ･･･と胸が高鳴った。秘密のことをしているみたいで。
チラッと櫻井さんを見る。櫻井さんも私を見た。大きなクリクリの目に私が映ってるのかと思うと、胸が鷲掴みされるみたいに痛かった。
付箋を捨てるフリして、手帳に貼る。
捨てられない、だって櫻井さんが私に宛てた短い手紙だもん。
好きじゃなくていいよ、だから好きでいさせて。
部下として櫻井さんの1番近くにいさせて。
その大きなクリクリの目に、一瞬でいいから私を映して。
山本さんを遠くから見つめる櫻井さんを見て思った。
*
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アヤカ(プロフ) - いやいや、文章力あるよー！文才か笑笑ほんとに年下かよって思うほど文才ありすぎて怖いよ笑笑 (2017年6月17日 1時) (
レス) id: e8965905e7 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - アヤカさん» うわー！！読んでくれたの？(;_;)ありがとう(><)面白いとか本当に飛び跳ねる勢いで嬉しい！！文章力はないけど！笑笑頑張るよーん！ (2017年6月17日 1時) (レス) id: bf7054af09 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ(プロフ) - みうー！そっこーで読んだよ笑笑面白かった！やっぱり文章力あって羨ましいわーこれからも頑張ってくださいませー (2017年6月17日 1時) (レス) id: e8965905e7 (このIDを非表示/違反報告)
piropa(プロフ) - りょーかいです (2016年8月15日 23時) (レス) id: ed1acedc9c (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - ゆーさん» 面白かったなんて嬉しいです(´；ω；｀)続編…書きたいと思っておりますので、続編始めた時にはまたお付き合いよろしくお願いします┏○" (2016年8月15日 20時) (レス) id: 2a9c614875 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みう
| 作成日時：2016年1月17日 17時
