28.夜への誘い ページ28
「そろそろ帰るか、明日も仕事だし」
「そうですね、」
お会計は当たり前のような顔をして櫻井がしてくれた。
「払います！」「いや、いいから」「いや、でも！」って財布を出そうとしたら、『あのさ･･･周り見てみ？俺、すごいケチな人だと思われてるんだけど』って苦笑いした櫻井さんがいて、取り敢えずその場は財布をしまった。
店を出た途端に、また財布を出す。
「幾らでしたか？」って聞いても、「忘れた」って言って教えてくれない。
「教えてください！」
「嫌だね、割り勘とかダッセ。女にも出させるなんて、あり得ない」
私を無視するようにスタスタ長い足を進ませる。
ドンドンと離れていく、私と櫻井さんの距離。
「私が嫌なんです！払わせてください！」
「じゃあさ、ちょっと付き合ってよ」
・
夜は長い、そう言うように右側の助手席を開けた櫻井さん。
「さぁ、姫」
「ぇ、･･････」
「私と夜を過ごしませんか？」
執事みたいな、そんな口調で私を夜へと誘う、櫻井さん。
・
「･･･はい、」
まんまと釣られた私は、きっと櫻井さんの罠から、一生抜け出せない。
・
・
この前流れていたラブソングが、車内に響く。
外車なんて乗りなれてないから、やっぱり助手席が右側。っていうのは慣れない。
・
ラブソングが聞こえているはずなのに、聞こえていないような顔をして運転している櫻井さん。
この前は、この曲のイントロが流れただけで嫌な顔をしたのに、今日はピクリとも表情を崩さなかった。
・
「着いたぞ、･･･」
いつの間にか眠りに落ちていたのか、櫻井さんの低くてよく響く声で目が覚めた。
「暗い･･･････、」
「まだ目が寝惚けてるからな。よく目を凝らしてみろ、」
言われた通り、真っ暗な外に目を凝らして見つめてみる。
ついでに、耳にも集中した。
「･･･････海？」
「･･･正解」
真っ暗な車内の中で聴こえる櫻井さんの優しい声色と、ザブーン･･･という波打つ音。
胸の中に、何か暖かいものが広がっていく感覚。
「ちょっとまだ寒いけど、･･･」
そう言い、櫻井さんが車から出た。
*
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アヤカ(プロフ) - いやいや、文章力あるよー！文才か笑笑ほんとに年下かよって思うほど文才ありすぎて怖いよ笑笑 (2017年6月17日 1時) (
レス) id: e8965905e7 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - アヤカさん» うわー！！読んでくれたの？(;_;)ありがとう(><)面白いとか本当に飛び跳ねる勢いで嬉しい！！文章力はないけど！笑笑頑張るよーん！ (2017年6月17日 1時) (レス) id: bf7054af09 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ(プロフ) - みうー！そっこーで読んだよ笑笑面白かった！やっぱり文章力あって羨ましいわーこれからも頑張ってくださいませー (2017年6月17日 1時) (レス) id: e8965905e7 (このIDを非表示/違反報告)
piropa(プロフ) - りょーかいです (2016年8月15日 23時) (レス) id: ed1acedc9c (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - ゆーさん» 面白かったなんて嬉しいです(´；ω；｀)続編…書きたいと思っておりますので、続編始めた時にはまたお付き合いよろしくお願いします┏○" (2016年8月15日 20時) (レス) id: 2a9c614875 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みう
| 作成日時：2016年1月17日 17時
