03.お腹の虫 ページ3
｢翔くん、｣
山本さんの甘い声が先輩の名前を呼んだ。
｢スズカ、｣
先輩も、愛おしそうに山本さんの名前を呼んだ。
ナニコレ、まさか･･･先輩。
ぐぅー･･･、あ。やば、お腹の虫鳴いちゃったよ。
｢ん、･･･スズカ、今日は帰れ｣
｢え？･･･キス、してよ｣
｢今度してやるから、･･･今日は帰れ。旦那、帰ってるんだろ？｣
｢出掛けてくるって言ってあるから、･･･｣
｢スズカ、｣
先輩のよく通る低い声がオフィスに響いた。
｢も、しょうがないなー！｣
分かったよ、また今度ね！そう言ってヒールの音を響かせて山本さんがいなくなった。･･･んだと思う。
｢居るの分かってんだよ、｣
｢･･････、｣
｢隠れてねぇて、出てきたら？｣
先輩の少し苛ついた声が耳に入る。それは、私だって分かってる？もしかしたら、このまま無視したら逃げられる？
｢･･････、｣
先輩が、そんなことする人だって思わなかった。
不倫･･･、とかしなさそうなのに。
｢･････････、｣
櫻井さんの気配がなくなった。
諦めて帰ったかな･･･、
ふぅ。安心して息を吐いたら、思ったより大きな音が出た。
｢おい、｣
｢･･････、｣
本当にビックリした時って、声って出ないんだ。って初めて知った。
そして、身体も固まる事も。
指先から冷えていくようなそんな感覚に襲われる。
｢帰ったんじゃねぇの？｣
｢か、えったんで･･･すけど、｣
カサっと音がしたコンビニのビニール袋。
先輩が意図を理解したのか、『丁度お腹空いてたわ』って、笑った。
でも、そんなことより。自分の不倫現場を見られたのに笑顔でいられるんだろう。
普通は焦ったり、するはずなのに。
｢貰っていい？｣
｢･･････、｣
声が出なくて首を縦にコクンと振った。
フッ、って櫻井さんが頬を緩めた。
｢食べよ、｣
え？！無理無理無理無理！こんな気まずい状況で呑気にご飯なんか食べれません！！
｢･･･いえ、私は、｣
｢帰るわけ？｣
｢･･･え、｣
｢お前のせいで独りになっちゃったんだけど、･･･それに、お腹空いてんじゃねぇの｣
独りになった･･･って、私のお腹がなっちゃったから？
山本さんがいなくなっちゃったから、だよね･･･。
*
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アヤカ(プロフ) - いやいや、文章力あるよー！文才か笑笑ほんとに年下かよって思うほど文才ありすぎて怖いよ笑笑 (2017年6月17日 1時) (
レス) id: e8965905e7 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - アヤカさん» うわー！！読んでくれたの？(;_;)ありがとう(><)面白いとか本当に飛び跳ねる勢いで嬉しい！！文章力はないけど！笑笑頑張るよーん！ (2017年6月17日 1時) (レス) id: bf7054af09 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ(プロフ) - みうー！そっこーで読んだよ笑笑面白かった！やっぱり文章力あって羨ましいわーこれからも頑張ってくださいませー (2017年6月17日 1時) (レス) id: e8965905e7 (このIDを非表示/違反報告)
piropa(プロフ) - りょーかいです (2016年8月15日 23時) (レス) id: ed1acedc9c (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - ゆーさん» 面白かったなんて嬉しいです(´；ω；｀)続編…書きたいと思っておりますので、続編始めた時にはまたお付き合いよろしくお願いします┏○" (2016年8月15日 20時) (レス) id: 2a9c614875 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みう
| 作成日時：2016年1月17日 17時
