15.今が幸せ ページ15
「センパ、･･･、」
声が上手く出ない。喉に潤いがないからか、それとも恐怖で出ないのか。
先輩が鼻でフッ･･･って笑った。全然余裕な顔してる。
「離してもらえる？」
「誰だよ、お前」
「･･･、コイツの上司ですけど、」
眉間に皺を寄せてすこし難しい顔をした先輩。首に手を回して擦った。先輩がよく困った時にする行動だ。
「上司なら関係無いよね？」
「いや、俺の大事な部下なんだけど」
イライラしたように声がだんだん荒くなってきた男。鼻息も興奮してるのか荒くて、そこから酒の臭いが漏れて臭い。
「そんな欲求不満なら、ここのホテル街にお前たちと同じような女、たくさんいるから、ソイツ返せ」
凛々しい眉毛がピクッて動いた。綺麗な二重の大きな目から真剣な眼差しがコッチに向けられて、愛しい。
「･･･もう行こうぜ、」
おう。と、男たちが諦めたようにクルリと踵を返した。身体の腰に回っていた気持ち悪い腕がスルリと離れた。
「バカか、」
「･･･すいません」
「上着は？」
「･･･置いてきちゃいました、」
「こんな真冬に？」
「･･･はい、」
「･･･ホント、バカ」
呆れたように溜め息を吐いて、ぐるぐる巻きにされた赤いチェックのマフラーに顔を埋めた先輩。
「あの、･･･先輩」
「･･････ん？」
「･･･ありがとうございました、」
深々と頭を下げる。こういう時は、謝る動作とお礼を告げるといい。って何かの本で見た。
パコン、と軽く頭を叩かれた。そのあと叩いた場所をフンワリ優しく撫でる先輩。
「女が男の力に敵うわけないだろ。それも一人じゃないんだから、相手は」
「･･･はい、」
「俺が来なかったら、今頃あの薄汚いホテルで抱かれてるんだぞ、お前」
「･･･や、だ」
「だろ？もうちょい、危機感持てよ」
私の顔は見ない。私もいつもみたいに見つめなかった。遠くを見つめる儚い綺麗な顔をした櫻井さんが、あと1歩足を進めれば抱きつける距離にいる。
それだけで、もう幸せ。その綺麗な目に私を映してくれるだけで幸せ。
先輩のすぐ近くにいられる、今が幸せ。
*
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アヤカ(プロフ) - いやいや、文章力あるよー！文才か笑笑ほんとに年下かよって思うほど文才ありすぎて怖いよ笑笑 (2017年6月17日 1時) (
レス) id: e8965905e7 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - アヤカさん» うわー！！読んでくれたの？(;_;)ありがとう(><)面白いとか本当に飛び跳ねる勢いで嬉しい！！文章力はないけど！笑笑頑張るよーん！ (2017年6月17日 1時) (レス) id: bf7054af09 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ(プロフ) - みうー！そっこーで読んだよ笑笑面白かった！やっぱり文章力あって羨ましいわーこれからも頑張ってくださいませー (2017年6月17日 1時) (レス) id: e8965905e7 (このIDを非表示/違反報告)
piropa(プロフ) - りょーかいです (2016年8月15日 23時) (レス) id: ed1acedc9c (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - ゆーさん» 面白かったなんて嬉しいです(´；ω；｀)続編…書きたいと思っておりますので、続編始めた時にはまたお付き合いよろしくお願いします┏○" (2016年8月15日 20時) (レス) id: 2a9c614875 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みう
| 作成日時：2016年1月17日 17時
