12.理由があるなら【S】 ページ12
約束の時間前に着いたバー。
扉を開けると、いつもの見慣れた風景が見えた。
「マスター、･････」
「あ、･････まだ来てませんよ」
常連だからか、何も言わなくても通じる会話。来ていないのは、スズカのことだ。
別れたあの日から、特に変わることはなく。
俺は夢中のものが、1つに減っただけで仕事に専念。
その半年後、スズカは結婚した。相手は一流企業に勤めてる男で(俺も一流企業の会社に勤めてるけど)、2、3歳年上らしい。
「･･･翔くん、」
細い首に紫色のマフラーを綺麗に巻いているスズカの姿が見えた。･･･やっぱり、彼女は相変わらず美しい。
「座れば？」
「あ、･･･うん」
遠慮がちに隣の席に腰を下ろした彼女から香るのは、子供の好きな香りなのだろうか、フンワリと包み込むような、そんな香りだった。
「いつもの、お願い」
スズカの綺麗な長い指が机の上で踊っていて、それを眺める俺は、マスターにどう映っているだろうか。
｢早かったね、翔くん｣
｢女に待たせる男ってどうよ｣
｢翔くんだったら、いいかな？(笑)｣
鮮やかな赤で色付けた爪を弄りながら、首だけ俺の方に向けカクンと傾ける。
知ってるんだ、自分の美しい角度を。
そんな女に惚れたのは、間違いなく俺だ。
｢翔くん、｣
｢･･･ん？｣
｢ショウタ、翔くんに会いたいって言ってたよ？｣
ショウタ、それはスズカの子供の名前で。
俺の名前と紛らわしい名前を付けたな、とつくづく思う。
他に名前が無かったのか、そんなのは今更聞けない。
｢そういえば、誰だっけ？翔くんの部下ちゃん｣
｢あぁ、中村？｣
｢そうそう！･･･Aちゃん？だっけ？｣
何故が胸騒ぎか起きた。
これから何を話されるのか、全く分からない状況に胸がドキドキしていたのかもしれない。
｢･･･あの子･･･、苦手だな(笑)｣
｢･･･は？｣
自分の部下を貶された気分になっていたのかも知れない。
別に庇うつもりは更々ない。
ただ、どんくさいなりに頑張ってるアイツを知ってるのは、俺だけだと思うし、知らないのに言うなよ。っていう気持ちがあったんだと、思う。
｢･･･翔、くん？｣
｢中村のどこが苦手なの？｣
責めてるように聞こえるかもしれない。
ただ、自分の部下を貶されるのはゴメンだ。
理由があるなら、何だって言えばいいと俺は思う。
*
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アヤカ(プロフ) - いやいや、文章力あるよー！文才か笑笑ほんとに年下かよって思うほど文才ありすぎて怖いよ笑笑 (2017年6月17日 1時) (
レス) id: e8965905e7 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - アヤカさん» うわー！！読んでくれたの？(;_;)ありがとう(><)面白いとか本当に飛び跳ねる勢いで嬉しい！！文章力はないけど！笑笑頑張るよーん！ (2017年6月17日 1時) (レス) id: bf7054af09 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ(プロフ) - みうー！そっこーで読んだよ笑笑面白かった！やっぱり文章力あって羨ましいわーこれからも頑張ってくださいませー (2017年6月17日 1時) (レス) id: e8965905e7 (このIDを非表示/違反報告)
piropa(プロフ) - りょーかいです (2016年8月15日 23時) (レス) id: ed1acedc9c (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - ゆーさん» 面白かったなんて嬉しいです(´；ω；｀)続編…書きたいと思っておりますので、続編始めた時にはまたお付き合いよろしくお願いします┏○" (2016年8月15日 20時) (レス) id: 2a9c614875 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みう
| 作成日時：2016年1月17日 17時
