KING【ars M.A】 (ページ26)

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なページ26

「うわー、微妙な顔してるし」

ケラっと笑って、社長が私の頬を抓る。

「信じてないんでしょ」

信じてない...とゆーより、真に受けてはいけないって必死で自分に言い聞かせてるのかもしれない。

こんなの、こんな漫画みたいな、こんな恋愛ゲームみたいな、こんな展開なんて、現実に起きる訳ない。
遊ばれてるんだ。

「だってさっき社長は私をオモチャだって...」
「ねぇ。俺の仕事って何？」
「...社長さん...」
「どんな会社の？」
「...ゲーム会社の...」
「ゲームって、世間では『オモチャ』だと思われてるよね？」

社長曰く『微妙な顔』をしてる私は、彼に連れられて部屋の奥へ進む。
綺麗な部屋。
こんな部屋、泊まった事どころか入った事すら無い。

そこにあるソファに座らされて、隣に社長も座る。

「俺にとって『オモチャ』って、超特別なんだよ」
「.....」
「執着心もスゴイっつったでしょ？」
「.....」
「簡単に飽きて興味無くすとか思ってんのかもしれないけど、俺めちゃくちゃ粘着質だからね？」

ツン、と頬をつつかれて

胸がキュウウ...って苦しくなった。

「Aちゃんが俺を嫌いだったり、生理的に無理ー！って言うなら、諦めるよ」
「.....え...？」
「でも言ったでしょ？俺は初めてAちゃんと会った時から『この子が欲しい』って思ってた」
「それは...会社にとゆー事じゃ...」

私が言うと、彼は「んー」って唇を尖らせて

「勿論、スタッフとしても欲しいと思った。あんなにうちのゲーム好きでいてくれるんだから」

そう、話し始める。

「でも、俺のにしたいってすっごい思って」
「.....」
「どうしても手に入れたくて、公私混同した」

いつものようにタハッと笑って、でもちょっとだけ照れ臭そうで

何て可愛い顔をするんだろうって思ったら、愛おしくて愛おしくて

「俺、本当にAちゃんが好きなんだよ？」

その言葉に

「信じてよ」

その言葉にも

「Aちゃんも俺を好きになってくれたのかな？って嬉しかったのに、勘違い？」

その言葉にだって、心が入ってる胸がギュウギュウ喜んでるんだ。

「...勘違いじゃない」

社長を見る。

「...勘違いなんかじゃないです」

社長が微笑む。

「私は、社長が好きです。物凄く、ユキちゃんにヤキモチを妬いていました」

「もう、可愛いなぁ！」って、彼は楽しそうに笑って

「最高の誕生日プレゼント貰っちゃった」

そう言うと、私を思い切り抱き締めた。