KING【ars M.A】 (ページ24)

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武ページ24

自分に起きてる事がよく分からなくて

でも、目の前には社長が居て

「すっごい顔」

ダハッと笑われて、自分の顔がグズグズになってたんだ！って事を思い出す。

俯こうとすると、左手で顎を持ち上げられる。

「これは顎クイ？」

近付く、社長の顔。

「ねぇ。そんなに泣いて、どしたの」

息がかかる程に近くで、囁く声。
顔を逸らしたいのに、顎を固定されてしまってるからそれも出来ない。

「.....だからっ...泣いてる訳じゃ無くて、ここちょっと乾燥してて...っ」
「俺、全然ヘーキだけど？」
「目の中に睫毛も入っちゃって...！」

ハッ、と笑われる。

「ウソツキ」
「.....っ！」
「可愛い顔が台無しだよ？」
「.....」
「って言いたいんだけど、泣いてる顔もなかなか...フフッ」

社長の香りがグンと近付いて

その唇が頬に触れて、私の涙を舌が舐め取る。

「ヤキモチ、妬いちゃった？」

耳元で楽しそうに言った唇が、そのまま耳朶に軽く触れた。

もうやだ、何これ、遊ばれてんの？

そうだよ、遊ばれてんだよ...だって...

「...私は、オモチャなんですよね...？」
「え？」

少しだけ驚いたような社長が、私の顔を覗き込んだ。

「Aちゃんがオモチャ？」
「.....」
「フフッ、そうだね。オモチャかもね」

あの笑顔。

蒲鉾型になる目が、もう見れない。

心が胸にあるというのは、きっと本当だ。

だって、今、胸が痛くて痛くてたまらないから。

「けど俺、好きなオモチャへの執着心スゴイからね？」
「.....え...」
「小学校入った時にとーちゃんに買って貰ったLEGO、今だに遊んでるし」
「.....」
「秘書室にあるの、知らない？今はお城の形にしてある」

言われて、秘書室のチェストの上にLEGOで作られたお城があった事を思い出した。

「その前はロボットで、その前はゴジラの形にしてたはず」
「.....」
「俺が作り変える度に風間ぽんが写真撮ってたと思うよ」

それから...と、社長はまだ話を続ける。

「ボードの人生ゲームも、正月の度に出してやってるし」

一緒だ...今でもテレビゲームじゃなくてボロボロになったボードを出して来て、お金なんて無くしたりしたから手作りして、そんな人生ゲームでお正月に遊ぶ。

「Aちゃんは人生ゲーム、好き？」
「.....好き、です...」
「気が合うね。今度、やろうよ。風間ぽんも一緒に」
「.....」
「2人の方が良いなら、2人でしようか」

社長の掌が、私の頭を包むように撫でた。