KING【ars M.A】 (ページ13)

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顔ページ13

会食は穏やかに...とは言えない感じで進む。

「ねぇ、いつになったら大野さんをうちにくれるワケ？」
「フフッ。あげるワケないでしょ」

『大野さん』と言うのは、AIBER GAMEのゲームクリエイターで相葉社長と風間さんと一緒に会社立ち上げの時から居る人。
その才能はゲーム界では有名らしく、彼を引き抜きたいと思ってる会社は物凄い数あるみたい。

「オレの方が絶対大野さんを上手く使えるって言ってんじゃん、勿体ない。宝の持ち腐れ」

ククっと二宮社長が笑う。

「フザけんなよ？智くんの何を知ってんの」

アハっと相葉社長が笑う。

これは険悪な空気...？とビクビクしながら櫻井さんを見ると「だいじょーぶ」とその口が声を出さずに動いて、ニコっと微笑まれた。

「マジでさ、こっちの畑荒らさないでくんない？ゲームソフトとか出してんじゃねぇよ」
「それ、こっちの台詞。二天堂、アプリ配信し始めたよね？やめてくんない？」
「時代に合わせんのは当然だろうが」
「まぁ良いんだけど。だって結局うちのアプリより面白いモンは、どこからもまだ出てないもん」

本当に大丈夫なの？と、もう一度櫻井さんを見ると「いつもの事」とまた口パク。
しかも彼は言い合う二人を見て、何か楽しそう。
言い合ってる二人も、たまにダハハ！って笑い合ってたりして。

仲が良いのか、悪いのか。

でもよく考えたらゲーム界で名の知れた二人の対談な訳だ。
そう思うと、ゲーマーな私にとっては垂涎物。
それは私にとっても、物凄く楽しく自分の世界が広がったような時間だった。
役得。

「では、失礼致します」

二宮社長の車の前で、櫻井さんが頭を下げる。

「じゃあね、相葉さん」
「うん、またね」
「風見ちゃんも、またね！おやすみ」

私にまで柔らかそうな手首をフラフラ振ってくれる。

「はい、おやすみなさい」

クフ、と笑った二宮さんの横にとんでもないイケメンがやって来て後部座席のドアを開けた。
この人が運転手の松本さんか！
なるほど、本当に絶世の美青年！

「おかえり」
「ただいま、J」

J？あ、ハーフなのかな？

二宮社長が車に乗り込んで、松本さんが私達に頭を下げて運転席へと戻る。
その後に櫻井さんも助手席へ乗り込み、その車は走り出した。

「さぁてと。俺達も帰ろっか」
「はい」
「帰りは俺に運転させてよ」
「えっ？」
「俺、その為にお酒飲まなかったんだから」

私の持ってた車のキーを取り上げて、社長がフフンと笑った。